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2008 年06 月07 日

株券電子化制度

<平成20年1月学科基礎編問21>(正答4)

株券電子化(株式のペーパーレス化)とは、「社債、株式等の振替に関する法律」により、上場会社の株式等に係る株券をすべて廃止し、株券の存在を前提として行われてきた株主権の管理を、証券保管振替機構(ほふり)及び証券会社等の金融機関に開設された口座において電子的に行うこととするものです。
現行制度では、株式を保有する方法として、
@株券を証券会社等を通じてほふりに預託して、その株券の株式を証券会社等の口座に電子的に記録する方法(株券保管振替制度の利用)
A株券を株主自身が保管する方法等、
があります。
今後は、新たな株式振替制度により株券電子化が実施され、株式を証券会社等の口座に電子的に記録する方法に一元化され、現在ある株券は無効となります。

株券電子化には、次のようなメリットがあります。
a)株主にとっては、
・株券を手元で保管することなどによる紛失や盗難、偽造株券取得のリスクが排除
・株式の売買の際、実際に株券を交付・受領したり株主名簿の書換申請を行う必要なし
・発行会社の商号変更や売買単位の変更の際に、株券の交換のため、発行会社へ株券提出が不要
b)発行会社(株主名簿管理人を含む。)にとっては、
・株主名簿の書換に当たり株券が偽造されたものでないか等のチェックが不要
・株券の発行に伴う印刷代や印紙税、企業再編(企業間の合併や株式交換、株式移転など)に伴う株券の回収・交付のコスト等が削減
・株券喪失登録手続が不要
c)証券会社にとっては、
・株券の保管や運搬に係るリスクやコスト等が削減
・株主が株券を証券保管振替機構に預託する場合や証券保管振替機構に預託された株券を引き出す場合の手続が不要

株券電子化で株主がするべきこととしては、すでに証券保管振替機構に預託されている株券については、一斉に新たな株式振替制度に移行できるように措置されているため、株主が特段の手続をとる必要はありません。
自宅や貸金庫などで管理されている株券、いわゆる「タンス株券」については、移行日における株主名簿上の株主の名義で、発行会社により設定される「特別口座」において管理されることになります。特別口座は株式の売買を目的とした取引口座ではないため、売却や譲渡する際には手間と時間がかかります。

1 株券電子化の対象となるのは上場会社のみです。【×】

2 証券保管振替機構に対して株券の預託をしていない、いわゆるタンス株券については、株券電子化の実施により、株主名簿上の株主の名義で発行会社により設定される「特別口座」において管理されることとなります。【×】

3 特別口座で管理されている株券を譲渡するためには、あらかじめ証券会社に取引口座を開設し、特別口座から証券会社の取引口座に所定の手続きにより残高を振り替える必要があります。【×】

4 株主本人の自己名義株券であれば、株券電子化実施時に本人名義の特別口座が設定され、なんら手続きを行うことなく株主としての権利は保障されます。ただし、株券を譲渡するためには、あらかじめ証券会社に取引口座を開設し、特別口座から証券会社の取引口座に所定の手続きにより残高を振り替える必要があります。【○】

以上、正解はCです。

投稿者:ふみ
at 21 :43| FP1級過去問H20.1月学科午前 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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