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2005 年4 月2 日

ペルー 〜スモッグとパープルヘイズの都で〜A

リカルドと夜のパーティの仔細を聞き、夕方に再度待ち合わせようという話になった。すると

「ちょっと待っててや、な、な、待っとってな、頼むで」
と念を押して、奴は広場の人ごみの中に走っていった・・・不自然に時折、こっちを振り返り、俺たちの姿を確認しながら・・・

視力2.0以上を誇った遠視気味の俺は、ずっと奴の姿を追っていた。
すると広場の向こうの建物の影でチラチラこちらを伺いながら
何やら何人かの人間と話している様子だ。

あやしい・・・明らかにあやしい・・・

再びセンサーが赤色ランプを点した。

「なぁタロー(当時の俺のあだ名)、やっぱめっちゃヤバそうやで。シカトしようや」

ケンイチも同じく何かを感じ取っていた。

「行こか」

俺たちが立ち去ろう歩き始めると、慌ててリカルドは戻ってきて言った。

「堪忍なぁ。連れを見かけて。時間ないんやったら宿泊先の電話だけ教えとってや。また連絡するし。今日はモデルエージェントの娘らとのパーティやから」

なぜだろう・・・彼の言葉にはどういったマジックが隠されている・・・
俺たち脳みそはコウルサイ危険センサーの電源を強制的に落としてしまった。

何かが切れた二人は再びリカルドと広場のヘリに腰掛けた。
打ち合わせ

「ほな、この紙に名前とかホテルとか電話番号とか書いてや、あれ、ペンどこいった???」

もたもたと、ペンを探しているので俺は自分のペンを出した。

「これに書いたらいいんやろ、ほれ」

「いや、これ読みにくい、もう一回こっちに書いてくれ」

うだうだと面倒臭いやつだ。しかし、それは奴の作戦だった。

モタモタと十数分が過ぎた頃、突然、正面を向いたリカルドが声を上げた。

「ひぃっ!だ、旦那」

目の前には背の高いグレー背広と筋肉の塊のような黒い背広の二人組みが立っている。

「観光警察だ。お前達には麻薬売買の嫌疑がある。ちょっと署まで来てもらおう」
内ポケットから出して提示した警察証のようなものは、一秒で元のポケットに戻された。なんかソレっぽいものが出てきた、くらいにしか認識できなかった。
刑事(デカ)登場

(きたぁ〜、ニセ警官かぁ!?なんかわけのわからん展開に突入してきたぞぉ!!!)

そのときはまだ、即座にニセ警官と疑い警戒できる程度に意識はしっかりしていた。


※ここは佛檀の山本従業員のblogです。 

投稿者:与五朗(よご)at 11 :41 | 海外流浪 旅日記 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

ペルー 〜スモッグとパープルヘイズの都で〜@

9年前の今頃、俺は南米はペルーの首都リマにいた。

相棒は大学の親友で敬虔なカソリックにしてテコンドー部主将の
ケンイチだ。

その日は日曜日。
二ヶ月かけてマチュピチュやチチカカ湖、ナスカを回り旅の終盤を迎えつつあったころだ。

カソリックのケンイチは毎週日曜日は近くのカテドラル(教会)でミサに参加した。
のちに仏壇の道に進む俺であるが、当時はあらゆる宗教に対して学術的好奇心で、貪欲に首を突っ込む若者だった。だから極力ミサにも一緒に参加した。
その日は、リマの大聖堂のミサだった。
大聖堂はセントラルパークにありで大統領府と隣接していた。

ミサが終わり大聖堂の前の石段に腰を掛けて、アイスに舌鼓を打ってると・・・
向こうから見知らぬ陽気なアフロの男が笑顔満面で駆け寄ってくる。
大聖堂

「いよぉ、まいど!調子はどないでっか?
 にいやんら、日本人でっしゃろ。
 わて、めっちゃ日本人すっきやねん。
 なんせ、ペルーゆう国は大統領も日系人のフジモリやしなぁ、
 国民を上げて日本人ファンや」

昔からのダチのように肩を抱かれながら、まくし立てるように話しかけられた。

「お前、何もん?ちょっと馴れ馴れしすぎひんか?」

腕に覚えのあるケンイチはちと警戒しながら凄んだ。

「なになにぃ、怖いわぁ、にいやん。なんも怪しいもんちゃいまんがな。」

アフロで雪駄履きで、アロハシャツで前歯が一本も無い馴れ馴れしい初対面の男。
リカルド登場

「怪しすぎるわぃ!!!」
俺とケンイチのダブルツッコミが冴える゚・*:.。. .。.:*・゜

トラブル続きの南米の旅で鍛えられた危険センサーが反応する。

コイツはヤバイ・・・気をつけろ・・・

ヤツは少しも動じることなく相変わらずのフランクなノリで話を続けた。

「いや、なにね。今日、パーティがやりますねんけどな。ボンキュッボンの女の子が ぎょうさん来ますねや。ほやけど、男がもひとつ集まらんもんで誰かいぃひんか探してましたんや。ほんで、ちょうど暇そうなおたくらを見つけたゆうわけや。」

・・・

コイツはいいヤツだ・・・アミーゴ・・・

ヤツの言葉には危険センサーを狂わせる呪文でも混ぜ込まれていたのか・・・
そのときの俺たちの心境の変化の理由は未だにわからない。

ただ、俺たちは次の瞬間からアミーゴと化し、三人で頭を寄せ合い、
スケジュールの調整をしはじめていた。

浮かれた俺たちには、この後人生二度目の恐怖の体験が待ち構えていることなど知る由もなかった。


※ここは佛檀の山本
従業員のblogです。

投稿者:与五朗(よご)at 05 :18 | 海外流浪 旅日記 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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