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2005 年04 月05 日

ペルー 〜スモッグとパープルヘイズの都で〜最終話

ひとしきりリカルドをいじめた後、ノッポは俺の目を見て静かにいった。

「ふぅ・・・このままでは君たちを逮捕せなならん。無実であるなら、素直に身の潔白を明かしてほしいんや」

バイオレンスシーンの直後の、静かでこちらの身を案ずるような言葉使い。ふーっと俺たちは疑念を無くし、彼らを本物の警察であると認めたい心境に陥った。

そう思い始めたとたん、何より怖いくなったのは誤認逮捕だった。
地球の裏側、ペルーの監獄で青春を終わらせるのは嫌だぁ!!ああ、もう会えないのか、カワイイあの娘よぉ!!!

「もう、バッグから腹巻から靴下の中まで何でも調べてくれぇ。早く無実を認めてくれぇ〜」

今までの警戒モードは一機に崩れ、もうまな板の上の鯉で、すっかり貴方にお任せ状態だった。
心理

助手席の筋肉がすばやく俺たちの荷物を取り調べ始める。

後ろからジーッとその作業を見つめていると、ノッポが矢継ぎ早に話しかけてくる。
必死に聞き取って、答えているとどうしても目はノッポを向けなくてはならなかった。なかなか、筋肉の手元に視線を送れない・・・
まだ、どこかで不安は残していたから。

やがて2、3分だっただろうか。筋肉が振り向いて、ノッポになにやら耳打ちをした。
するとノッポは俺たちを見ていった。

「君たち、悪かったな。何も出てこーへんかったな。無実が証明されたってこっちゃ。
じゃ、俺たちはリカルドを署に連れて行くから、君たちはここで降りてええよ」

リカルドはうつむいてまだヒックヒックしている。

筋肉が俺たちの腹巻やらポーチやらを一つのリュックに詰め込んで、一塊にして俺たちに返してきた。

キィーッ

車は汚いダウンタウンの路地に急停車し、俺たちはそこで降ろされた・・・
というより放り出された・・・

「・・・」

「!、ケンイチ、リュックの中調べてくれ!」

ガサゴソ・・・




・・・地球の裏の見知らぬ路地で、俺達は日本円で100円ずつの懐となってしまっていた・・・
パスポート、飛行機チケット、そしてホテルまでのバス代を残してくれたのは彼らの良心なのか・・・

乾いたスモッグで黄色く濁った青空を見上げた。汚いが乾いた空気だ。悪辣だがしかし、あまりに見事で鮮やかなサギッぷりに感動すら覚えつつ立ち尽くした。

この後、無一文の俺たちの滞在残日一週間の戦いが始まるのだが、それはまた別の機会に・・・
どこ

投稿者:与五朗(よご)at 01 :33| 海外流浪 旅日記 | コメント(4 ) | トラックバック(0 )

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◆この記事へのコメント:

◆コメント

元気でがんばってるみたいで何よりです。
なつかしいペルーの話に思わず書き込んじゃました・・・びっくりした?

投稿者: あの娘 : at 2005 /04 /05 18 :38

◆コメント

びっくりした。
元気そうやね。
びっくりした。

投稿者: 与五朗 : at 2005 /04 /06 02 :17

◆コメント

これは巧妙なプロの手口です、命が助かっただけでもよしとすべきでしょう。その後の無一文での滞在をどうするか、気になるところです。

投稿者: 団長 : at 2005 /04 /18 14 :33

◆コメント

やっぱ命あっただけめっけもんだったんですね。

後で反省したのは、このときは二ヶ月の期間だったんですが
全くトラブルはなく、変に旅慣れた気になっていた驕りが
原因だという結論に至りました。

まぁ、気をつけていたつもりの翌年も
結局、暴走車に乗ったりしちゃいましたが・・・

ネタが詰ったときにその後編をしますね

投稿者: 与五朗 : at 2005 /04 /23 10 :59

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