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2009 年06 月23 日

Q: 夫が行方不明となり、既に5年が経ちました。私としては、夫と離婚し、別の男性と新しい生活を始めたいのですが可能でしょうか?

A: 夫が行方不明ですから協議離婚は出来ません。よって、裁判所の手続にて離婚することになりますが、このような事情がある場合、調停による解決が期待できませんね。したがって、調停を申立てても意味を成さないですから、調停をせずに離婚訴訟を提起します。多くの裁判所はこの訴訟提起を認めるものと思われます。
 さて、訴訟を提起する場合、訴状等を作成し、裁判所に提出することになります。そして、当該書面は、裁判所を通じて、相手方に送付されることになります。しかし、本件では、相手方が行方不明ですから相手方に書面を送達することができません。このようなときは、一方当事者の申立により、裁判所に掲示をして書面が相手方に届いたものとみなすこととなります。これを公示送達の制度と言います。公示送達が認められてしまえば、相手方が出頭することなく訴訟を進行させることができます。本件では、3年以上行方不明の状態が継続していますから、離婚原因があるといえ、離婚を認める判決が宣告されることとなろうかと思います。
 ところで、相手方としては、自分の知らないところで訴訟が進行しています。それゆえ裁判所は、相手方の権利を蔑ろにしないようにするため、公示送達を認める前に、申立当事者に対し、相手方の所在が分からないこと(どこに書面を送れば相手方が受け取れるかわからないこと)の調査報告を求めます。自宅からいなくなってしまった相手方の場合は、職場も分からないことや、実家にも身を寄せていないことなどを確認して、その旨記載した報告書を作成することとなりましょうが、実際に要求される調査の程度については、ケースバイケースであり、対応する裁判所書記官の姿勢如何というところでもあります。

投稿者:よしの たいら
at 18 :11| 離婚−離婚の理由 | コメント(0 )

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