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2009 年09 月16 日

Q:フランス人男性と結婚しパリ在住です。離婚することにしたのですが、離婚届を郵送で私の本籍地に送れば良いですか?

A:お二方の離婚には、どの国の法律が適用されるかが問題です。日本法が適用されるのであれば、本籍地の市区町村長宛に離婚届を郵送し、これが受理されます。しかし、他国の法律が適用される場合には、役所は離婚届を受理しません。
 適用される法律を決める順番は、@夫婦の共通本国法、A夫婦の共通常居地法、B夫婦の共通密接関連法であり、例外的にC夫婦の一方である日本人の常居所が日本にあれば、常に日本法となります。
 そこで、@まず夫婦の共通本国法ですが、これは、フランス法と日本法とで異なっていますので、基準と為りません。A次に夫婦の常居地ですが、これがパリであればフランス法が適用されることになります。反射的に例外たるCとしての日本法適用の余地がなくなります。これで、準拠法が定まれば、Bを検討する必要はありません。
 準拠法がフランス法であることとなれば、日本に離婚届を送付しても受理されません。すなわち、離婚ができません。
 なお、お二方がフランスにおいて離婚裁判を行い、離婚を認める判決が宣告されている場合には、当該判決に日本国民事訴訟法第118条の要件が充足されている限り、その判決等を添付して離婚届を送付すれば、A夫婦の共通常居地が日本でなくとも、B夫婦の共通した密接関連法が日本法でなくても、C日本人配偶者が日本に常居所がなくても、それらの事実には一切関係なく、離婚届は受理されます。なぜなら、フランスにおいて既に離婚が成立し、それを報告的に届出るものであるゆえ、どの国の法律に準拠して離婚の可否を判断するかについて審査する必要がない(裁判の中で既に判断されている)からです。
 これに対して、判決なしで、いきなり離婚届の提出によって協議離婚をしようとする場合は、当該届出によって離婚を成立させるものであり(これを創設的届出といいます)、離婚届の提出があった時点で正に準拠法を審査する必要性が生じ、場合によっては不受理としなければならない案件も発生するので、このような相違が生じます。
 

投稿者:よしの たいら
at 13 :48| 離婚−国際離婚 | コメント(0 )

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