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2009 年11 月03 日

Q: 特別永住者である韓国人です。日本で生まれ育ち、タイ人と結婚しましたが離婚することになりました。日本で離婚できますか?

A: 夫婦の国籍が異なる場合には、夫婦に共通の常居所があるかどうかを検討します。夫婦共通の常居所が日本にある場合には、日本法が離婚の準拠法となります(日本の裁判所での日本法による裁判離婚も可能となります)。また、夫婦共通の常居所がないとか、常居所が日本国内にはない場合には、夫婦の密接関連地が日本であると判断できれば、日本法が離婚の準拠法となります。これらの場合には、日本の方式によって協議離婚することが可能です。すなわち、日本の役所に離婚届を出すことによって離婚することができます。なお、奥様の在留資格がたまたま「短期滞在」などになってしまっているような場合には、奥様の常居所が日本であるとの形式判断ができなくなり、密接関連地の審査を強いられることがありますので、注意が必要です。 これに対し、現在、奥様がタイに帰国してしまっており、日本に共通の常居所がないゆえ、明らかに二人の密接関連地を判断する必要がある場合で、密接関連地が日本以外であると判断された場合には、当該密接関連地の法律が準拠法となります。当地の法律で協議離婚が認められていれば、日本の方式で協議離婚をすること、すなわち、役所に離婚届を出すことによる離婚が可能です。なお、当地の法律で協議離婚が認められているかどうかは、届出をする者が関連書類を提出して証明することになります。ただ、韓国や中国などで協議離婚が認められていることは役所側が理解しているので、特に証明のための資料を提出する必要はないようです。また、タイにおいても協議離婚が認められているので、本件の場合は、日本・韓国・タイ以外の第三国が密接関連地で、当地が協議離婚を認めていない場合以外は、協議離婚が認められることになるでしょう(なお、本問とは離れますが、韓国法においては、協議離婚に裁判所の関与が要求されるため、韓国人同士が日本で協議離婚した場合、韓国の家族関係登録簿への記載ができない可能性がありますので注意を要します)。しかし、協議にて離婚することができない場合には、裁判手続によることになりますが、奥様がタイに帰国してしまっている以上、一部の例外に該当する場合を除き、裁判はタイで行うべきものとなりますので、結果として日本で離婚することができなくなります。 ちなみに、日本で裁判離婚が可能な場合、外国人同士の裁判離婚については、役所に報告的届出をすることはできませんので御注意下さい。すなわち判決書自体が、日本において離婚したことの証明書となります。

投稿者:よしの たいら
at 16 :45| 離婚−国際離婚 | コメント(0 )

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