2009 年12 月25 日
Q: シンガポール人男性と同国で結婚したのですが、離婚したくなり帰国しました。日本では婚姻を届けていません。日本で離婚できますか?
A: 日本法上は、婚姻届を戸籍役場へ届け出ることによって婚姻が成立します。したがって、御質問の状態ですと、日本法上は、まだ婚姻が成立していません。婚姻が成立していない状態で離婚するということはあり得ませんので、日本法上は離婚が成立し得ないことになります。他方において、他国において婚姻した以上、貴女には、在外日本大使館や本邦内の戸籍役場等に、3ヶ月以内に婚姻した事実を報告する義務があります(これを「報告的届出」といいます)。したがって、シンガポールにおける婚姻を、在シンガポール日本大使館や、貴女の戸籍を管轄する役場に報告する義務を負っているのです。この義務を履行し、日本法上も婚姻した上で、離婚をするというのが筋ということになりましょう(戸籍を汚したくないという心情は別次元の問題ですので、ここでは取り上げません)。
なお、日本とは異なり、「他国での婚姻手続があれば、自国において登録・登記手続を行わなくとも自国においても婚姻したこととなる(他国の婚姻手続を承認する)」というケースもあります。例えば、中国人(大陸)が日本人と日本法上婚姻した場合、婚姻を証する書面に外務省の公印確認を取得し、駐日中国大使館で認証を得れば、中国法上も婚姻が成立したこととみなされます。よって、この場合には、中国において何ら婚姻登記がなされていなくても、中国に管轄がある限りにおいては、中国で離婚訴訟が可能となります。
投稿者:よしの たいら
at 17 :47| 離婚−国際離婚
| コメント(0 )