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2010 年01 月21 日

Q: 離婚届に署名しましたが、その時に親権欄はブランクでした。その後相手方を親権者として届出されました。どうすれば?

A: 協議離婚の当事者の一方が離婚の成立は認めながらも、離婚届に記載された未成年の子供の親権については指定協議がなかったとして争うことはままあります。特に、外国人の方ですと、離婚届の内容をよく理解しないで署名をするケースなどが散見されます。
 この場合の争い方としては、@協議離婚を届出るには未成年者の子に対する親権者の指定が不可欠であるから、協議離婚をするときは、離婚だけでなく親権者の指定についてまで、包括的に合意しなけれならず、それがなされずに届出された離婚自体が無効である、すなわち協議離婚が無効であるとして、その調停の申立や訴訟を提起することと、A協議離婚する意思を有していた以上、離婚自体は有効に成立するといわざるを得ないが、親権者の指定がなされていなければ、その指定をしなければならないので、さらなる親権者指定の協議ができなければ親権者指定の審判を申立てたり、そもそも親権者指定協議無効確認の訴えを提起すること、あるいは、B便宜的に親権者変更の審判を申立てることが考えられます。
 @については、かような訴訟を認めない裁判例があります。すなわち、親権者の指定がなくても協議離婚自体は無効ではないとするのです。Bについては、親権者の指定がなされたことを認めることとなりますから、変更が認められるような事情がある場合のあくまで便宜的な手法ということとなりましょう。裁判実務においても、Aの手続を認めるのが一般的です。その場合、親権者指定協議無効確認判決を取得し、戸籍上の親権者の指定に関する記載を消除した上で、親権者指定の審判をするのが理論的ではありますが、最初から親権者指定の審判を申立てることも可能であると考えられています。

投稿者:よしの たいら
at 08 :48| 離婚−親権 | コメント(0 )

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