2012 年03 月29 日
たてもの探訪【LCCM住宅デモンストレーション棟】
ここは茨城県のつくば市にある独立行政法人「建築研究所」。建築関連の研究開発を行っている施設です。今回の目的は2011年に完成した【LCCM住宅デモンストレーション棟】の見学です。LCCMとはライフサイクルカーボンマイナスの略で、建物を建築した時や運用している時のCO2(カーボン)を削減し、太陽光発電によって最終的には収支をマイナスにしようという究極のエコハウスです。
キーワードは「衣替えする住宅」
究極のエコハウスと言えば機械でコントロールするようなイメージでしたが、意外と手動で切り替えをするような部分が多く見受けられました。これは南側の縁側空間にある夏の日差しを制御するためのルーバー。
この縁側空間は、開閉することで外部と内部の橋渡しするゾーンとなります。夏場は開放するとともに床下からの通風による冷却効果をもたらし、冬場は閉じてタイル面に蓄熱することで暖かさをもらたします。
室内から通風塔を見上げたところ。2ヶ所設けられた通風塔は夏場の熱を排出します。この窓の開閉も手動で行います。
南側から入った風がこの通風塔から抜けることで室内に涼をもたらし、無風時でも温度差によって自然換気が促進されます。
このように自然のエネルギーを取り込み夏冬で切り替えすることで冷暖房の負荷を減らしながら、建築時のCO2をマイナスへともっていこうという試みです。また住む人が感性に応じて自分で切り替えすることで省エネにつながることにもなります。
この建物、設備の価格だけでもかなりのものでしたので、すぐに実用化されるというものではないかもしれません。しかし、考え方はこれからの住宅設計に求められるようになると思います。
最近、古い建物ばかり見ていたので竪穴式住居なんかを提案しかねないと不安がられていたので、たまには新しい建物を見ておこうと思います。
投稿者:JC
at 18 :56| たてもの探訪