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2009 年08 月02 日

10分で作れる! 全天周立体映像投映装置

豆電球で投映する超ローテクヴァーチャルリアリティ。

 立体映画(3D映画)はキミも見たことがあるだろう。テーマパークや博物館、最近では、シネコンにも常設しているところがあるので「ベオウルフ」や「センターオブジアース(地底旅行)」を立体映画で見たかもしれない。しかし立体映画でもスクリーンの枠からはみ出して映像が飛び出すことはない。立体感は枠によって断ち切られ不自然になる。これを解消するにはドーム状のスクリーンで視界を覆ってしまうといい。これが全天周立体映像だ。
 では全天周立体映像は見たことあるだろうか? OMNIMAX(現IMAX-DOME)システムを使った、つくば科学万博や大阪花博での富士通グループパビリオンの映像や、最近では国立天文台4D2Uや科学技術館のシンラドーム、未来科学館のatmosが全天周立体映像だ。プラネタリウム館でもたまに上映されることがある。あまり見かけないのは、設備が少ないのと、制作費が高いからだろう。たとえば4D2UはDLPプロジェクターを13台、コンピュータを15台使って投映する。専用の立体メガネは1個2万円もするので回収して再利用している。
 全天周立体映像を印刷物や平面ディスプレイや平面スクリーンで再現することはできない。これは新しい視覚体験で、実際に体験した人でないとわからない、投映没入型のヴァーチャルリアリティなのだ。映像が頭上を通る、映像の中に入っていく、映像に包み込まれる。これを見たある人は言った「脳ミソがムズムズする!」。そのバカ高いはずの全天周立体映像の投映装置を安く簡単に作り、キミの部屋で投映するプロジェクトだ。 
用意する材料は
電球2個: 強力ハンドライトの豆電球。 筆者はパナソニックの7.2Vのクセノン球を使った(その形からビリケン球とも言う)。
電源: 電池5〜6個と電池ボックス。 または、適当なAC-DCアダプター7.5V〜9V(ジャンク品でいい)。リード線。
30〜50センチの木の棒: または 太い針金(電球の支持棒として)と適当な台(棒を立てて固定する)。
セロハン紙: 赤と青。100円ショップのは色が薄いものがあるので使えない。 文房具店・ホームセンターで買う。  
 これだけだ。さっそく作ろう。  
3Dの作り方


 これだけだ。さっそく作ろう。ビリケン球は普通の豆電球のようにネジのソケットではないのでハンダ付けする。2組を並列つなぎで電源とつなぎ、2個の電球を横に並べて棒の先にガムテープで固定する。棒を台に垂直に立てて固定する。前から見て左側の電球に青のセロハンをかぶせて影やしわにならないようにとめる。しわや重なりは後にまとめておく。右側の電球に赤のセロハンをかぶせる。後側は観客の目に電球の光が直接入るとまぶしいので小さなボール紙をあてて遮光する。これでできあがりだ。まだ10分たっていないと思うので、ついでに立体メガネも作っておこう。 ボール紙をメガネ型に切り取り、右目に青、左目に赤のセロハンを両面テープで貼る。観客の人数分作っておく。
 投映は直径2〜5メートルのドームスクリーンが最適だ。学校や家にプラネタリウムドームがあればそれを使うといいが、もしキミの部屋が四角いとしても大丈夫。壁や天井に投映すればドームとほぼ同じに見える。イリノイ大学のCAVEや東京大学のCABINも四角い部屋で投映型ヴァーチャルリアリティを研究しているのだ。ぶら下がっている照明は邪魔なのではずしたほうがいいけどね。
 部屋の真ん中に投映機を置く。投映機の後に観客が座る。操作者は投映機の横に座り、部屋を真っ暗にして投映機を点灯する。メガネと投映機の色の並び方は同じだ。適当な物体(キミの部屋にころがっているおもちゃとかプラモデルとかフィギュアとかフィギュアとかフィギュアとか・・・。なにもなければキミの手だっていい)を投映機の前にかざし、観客は立体メガネをかけて、天井や壁に映った影を見る。本体ももちろん見えているわけだが、見えないことにしておこう。するとその影が立体的に見える。 
 なぜ立体に見えるのか。CGの技法にレイ・トレーシングというのがある。現実には物体から来る光が目に入ってものが見えるわけだが、逆に目から光線が出て物体にあたり、その光線がスクリーンのピクセルを光らせると考え、そのひとつひとつのピクセルを計算する方法だ。この、目から放射される(仮想の)光線を電球に置き換えると、電球は計算なんかしないがリアルタイムで映像(影)を描き出してくれる。光源が2つあるので右目の映像と左目の映像が重なって投映されるが、色の違いから、メガネで分離でき(アナグリフ法)、右目には右用の映像が、左目には左用の映像が見えるので脳の中で立体として感じられる。電球の間隔が狭いので小人から見たように遠近感が強調され、巨大に見える。
 かざして影をつくる物体はワイヤーフレームや凹凸が多いものが立体的に見えやすいようだ。ストローや紙、竹ひご、発泡スチロールなどで軽く作ると動かしやすい。物体を持っている手まで大きく見えてしまうので、持ち手の棒をつける。物体の模型を作るには投映機を作る100倍くらい時間がかかるがCGだってモデルを作らないと見ることはできない。スターデストロイヤーが頭上を通過し、土星の環をくぐり、ブラックホールに入っていく。ダイヤモンドの結晶構造に包まれ、ティラノサウルスに襲われる。ルーカスもスピルバーグも見たことない驚異の映像をぜひ体感してほしい。キミの部屋が立体映像空間になる。本当だ!  
 3Dの原理


投稿者:ヒゲキタ
at 20 :17| 日記 | コメント(2 )

◆この記事へのコメント:

◆コメント

ヒゲキタさん2日間いつものように、みっちりとありがとうございました。
8日の日はプラネタリウム見に行こうと思っていたのに来客で行けませんでした。残念!!
なので、来年も是非ニセコにいらして下さい。

しばらくHPを覗いていなかったので、チョットびっくり来年まで、おあずけが余計に悔しくなってきました。

そう言えば昨日は、何事も無く目的地に到着されたでしょうか?
車のご機嫌が直っていれば良いのですが・・・・

本当にありがとうございました。
どうぞ気を付けて旅をお続け下さい、なぎちゃん奥様にもよろしくお伝え下さいね!

投稿者: kubo : at 2009 /08 /09 13 :22

◆コメント

例の文章ですね!公開ありがとうございます。
私もいろいろ作ってみました。そのうち記事にします。
明度差から赤青よりも赤緑のほうが良さそうな気がしますがどうでしょう?
この辺も使えそうです。
http://www.denzaido.com/cm/280220/
http://item.rakuten.co.jp/alllight/jc12v-150wbgx_ushio/
夏は北海道に毎年行きたくなります。

投稿者: おっと : URL at 2009 /08 /09 23 :54

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