まどろみ
M&Oplays produce「まどろみ」です。
私は普段、パンフレットは買わないのですが、今回は購入しました。
購入せずにはいられないほど難しく、面白い芝居でした。
観終わった後、いつもの如くこの観劇に誘ってくれた友人と語らずにはいられない内容だったのです。これは一人では消化しきれません。誰かの手助けが必要です。
正直なところ、作家の倉持裕さんに解説をお願いしたいところです。
もっとも彼は、観客に種明かしをする気などなさそうなのですが(笑)
そんな印象をパンフレットから受けました。
このお芝居は難しいです。私にはあらすじすら満足に語れません。
どういった内容の話なのか、そこから多岐に想像することが可能だからです。
そんなわけで、私が出した結論を述べるしかないのですが、
観ていない方にはちんぷんかんぷんな内容になること請け合いなので、あしらからずご了承ください。
まず第一に、零児とは一体何者なのか。
ただの不眠症の男なのか、
多重人格のホスト人格なのか、
多重人格のつくられた人格なのか、
色々考えられるのですが、私は「ただの浮気した男」なのだと考えました。
そして、とつみと日達さん。
三年前突然失踪した一輝に想いを寄せていたとつみと、彼の恋人であった日達さん。二人は零児と一輝の関係をどう考えていたのか。
他人だと思っていたのか、
同一人物だと思っていたのか、
それとも別人格だと思っていたのか。
とつみさんに関しては答えを出すのは難しいところですが、日達さんは別人格だと思っていたのではないでしょうか。
ちなみに私は、二人が知る医者である一輝は零児とは無関係であると思います。
芽里子さんが一夜を共にしたのは誰だったのか。
一輝だったのか、
多重人格者である零児の別人格だったのか、
はたまた三人目のそっくりさんだったのか。
私は酔った零児だったのだと思います。
零児ととつみが新宿のエスカレーターですれ違ったのは、
一輝だったのか、別のそっくりさんだったのか。
これはパンフレットを見る限り、どうもドッペルゲンガーだったようですね。
でもとつみは一輝なのではないかと思ったかもしれない。
私が考えた内容はこうです。
中野のバーで酔った零児が芽里子と行きずりの一夜を共にした。
名も知らない彼を忘れられない芽里子は以来ずっと探し続け、ついに居所を突き止める。しかしその家には同棲している女・とつみがいた。
芽里子に詰め寄られたとつみは帰宅後、零児に疑惑の目を向ける。しかし零児はそんな女など知らないという。そして零児は言った。その女が探しているのは、あの時新宿で見た男なのではないのか、と。そのことを伝える為に、後日芽里子は呼び出される。
この時、零児はそれで白を切り通すつもりでいた。それを逆手に取り、とつみは浮気をした零児に制裁を加えるため、かつて姿を消した零児に瓜二つの恋人を探している男・日達をその席に呼ぶ。
ここから人間関係はゆがみを見せ始める。
自分と一夜を共にしたのは零児とは別の人間だと信じた芽里子は、その日から新宿に一輝を探しに通うようになる。
一方、日達は零児が本当は一輝なのではないかと疑惑の目を向ける。しかしとつみは、零児が一輝の訳はないと日達に反発する。だって零児はとつみに恋をしたのだから、と。ゲイである一輝はそんなことはしないだろう、と。
そして、自分と顔がそっくりな人間が本当にいると知った零児は、一輝が医者であることを知り、羨望を抱く。
自分が今住んでいるこの家。ここはかつて生方という作家兼医師のものだった。作家である零児は生方に憧れていた。生方のようになりたかったのかもしれない。だから医者である一輝に傾倒し、作り出してしまったのかもしれない。自分と一輝は同一であるという妄想を。
しかし、零児は知ることになる。とつみがかつて一輝に恋をしていたことを。この時初めて零児は一輝に嫉妬するのである。
そして数日後、事件は起きた。
一輝を取り戻したい一心の日達によって、零児は刺されるのである。
最後、とつみが刺された一輝(零児)を目撃した後に展開される零児とのやりとりは、私はとつみの願望(妄想)であると解釈した。
ちなみに、秀平と日達の玄関先でのやりとりは、零児の想像であると解釈している。
ただ、これだと秀平と芽里子さんの説明が不十分になってしまうのだ。
彼らには何か関連性があったのか。
芽里子さんの3才の息子は本当に存在していたのか。
秀平が見た蔓草の生い茂ったアパートからの子供の転落事故が意味するものは。
芽里子がホームに身を投げたのは、息子を失った悲しさからなのか。
「影」これがもたらす恐怖。もしかしたら、重要視しなければいけないのはそちらの方なのか。
色々と謎の残る物語ではあります。出来ればもう一度みたい。可能ならばDVDでじっくり見たい。完璧に把握したい。そう思わせる演劇でありました。
さぁ、自分の解釈もこうして記したことだし、これから他の人の感想でも見に行くとしますか(笑)
間違っているのだと分かったら、後日また訂正を入れるやも知れません。
投稿者:とうだat 06:32| 観劇 | コメント(0) | トラックバック(0)