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2006 年04 月08 日

「ブラックホーク・ダウン」または「イラクの戦死者数」

いやぁ〜、あきれましたよ。
このあいだ免許の更新で講習を受けたんだけど、その教官が交通事故者の深刻さを強調するつもりで「イラクで死んだ米兵より交通事故死者のほうが多い」とか言い出した。
まあ、確かに数字の上ではそうだ。米兵の死者は現時点で2,500名弱。これに対して交通事故による死者は年間7,000〜8,000人。確かに間違っていない。だが、その比較に意味があるのか?死んでるのは米兵だけじゃないだろ!
で、思い出したのがリドリー・スコットの「ブラックホークダウン」。
ソマリアの内戦に介入した米軍が作戦に失敗し、民兵に包囲されるという話だが、すさまじい戦闘シーンと、しだいに追い詰められていくヒリヒリした緊張感が、市街戦の恐ろしさを伝えて余りある映画だ。
だが、この映画のラストで米兵の死者18名に対し民兵側の死者が1,000名と言うナレーションを聞いたとき、へ?と思った。50倍もの敵を殺してる!なのに、この敗北感はいったい何なのだ。確かに仲間が死に、作戦も大失敗だ。そりゃ、へこむだろう。だが、アメリカ国民でもなくアメリカの「正義」に賛同できない私としては、自軍の50倍ものソマリア人を殺しておいて「敗北を乗り越えてゆく不屈の兵士たち」みたいなラストシーンは違和感を感じざるを得ない。
この映画を国レベルでやってるのが、今のイラクだ。米軍はここでも、ずさんな作戦で乗り込んでいって、泥沼にはまっている。そして、反撃してきた「敵」を殺すだけ殺して、どうにもならなくなったら、悲壮感を漲らせながら撤退してゆくのだろう。そのときイラク人の死者が米軍の死者の何倍(何十倍?)になっているのか。

さらにイラクの場合、発表される死者の数は正規兵のものだけという点が要注意だ。同じアメリカ人でも物資の補給や施設の建設、機材の運用に関わる軍事企業やイラク兵の教育に携わる軍事コンサルタント、施設の警備をおこなっている警備会社等の民間軍事会社の社員の死者数は含まれていない。発表されている死者の数は、イラク戦争の死者数のごくごく一部なのだ。

しかし、自動車学校の教官といえば警察関係者じゃないの?こんなことでいいんだろうか…。
あ、いいのか、警察関係だから…。

投稿者:親方
at 02 :31| 時評 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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