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2006 年06 月27 日

「アメリカ、家族のいる風景」&「マイ・アーキテクト」

本日は父親をめぐる物語2つ。
まずは「アメリカ、家族のいる風景」。
西部劇の俳優で、今はスキャンダルで落ちぶれ気味の男が、撮影現場から逃げ出し、母親の住む実家へ30年ぶりに戻ってくる。そこで、二十数年前に付き合っていた女が子供を生んでいたことを知り、女の住むモンタナの小さな町へ。女と息子(といってももう青年)はすぐ見つかるものの、激しく反抗する息子に男はなすすべもない。さらに映画会社から送り込まれた潔癖症の探偵、謎の娘なども絡んできて、果たして父と子は和解できるのか?といった具合。
監督のヴィム・ベンダースは、私にとっては、メチャ好きというわけでもなく一番好きな作品も初期の「アメリカの友人」だったりして、なんとなく気になる程度の監督。今回も見ようかどうしようか迷ったが、脚本が「パリ・テキサス」で組んだサム・シェパードということで見ることにした。
で、見てみると、「すげー」というのはないけど、技巧を感じさせないくらい自然なうまさで、ジワリ胸にしみる。最後はハッピーエンドなのだけれど、これが実にハートウォームでよい。怪しい探偵と息子の彼女のコメディリリーフも効いている。西部の荒涼とした景色もよいし、町のカジノや酒場の感じもよい。
んー、見終わったあとは感動作くらいにしか思わなかったが、思い返してみると実によくできてる。やっぱ、ベンダース、巨匠と言われるだけのことはあるわ。これから心して見ます…。

「マイ・アーキテクト」のほうは、ルイス・カーンという世界的な建築家のドキュメンタリー。地味な映画のわりに客が多かったので不思議に思っていたら、帰りのエレベーターの中の会話では建築関係者が連れ立って来てたようだ。うーむ、カーン恐るべし。
とはいうものの、学術的な映画ではなく、息子が映画監督として父親の足跡を追うという映画である。
このルイス・カーン、本妻のほかに2人の女性との間に子供をもうけており、このうちの1人の子供が監督のナサニエル・カーンだ。彼が11歳の時に、ルイス・カーンが亡くなっており、父親の実像を知りたいということで、この映画を撮り始めたと作中で語っている。
映画は、父親の作品めぐりと関係者のインタビューからなっている。浮かび上がってくるのは、完璧主義者で神秘主義者で、人当たりはよいものの顧客に媚びることを知らない芸術家肌で、家庭を顧みないモーレツで、いい物を作るけど建築事務所は火の車みたいな、結局「ダメじゃ〜ん」みたいな「人間」ルイス・カーンなのだが、最後のバングラディシュの国会議事堂(ポスターとかに使われているやつ)でダメさと崇高さが統合されてしまう。
世界最貧国のひとつであるバングラで、妥協を許さぬ完璧主義で設計を行い、完成までに23年かかってしまったというのは、ある意味ダメなことだけど、たとえ最貧国であろうとレベルを落とさず設計をおこない、バングラの人たちもそれに答え、23年がかりで壮大な建物を完成させてしまうというのは、かなり感動した。それが民主主義の象徴である国会議事堂であればなおさらだ。

と言いつつ、知り合いにバングラへ協力隊で行ってた人がいるので、ホントのところどうなん?って聞いてみよっと。

投稿者:親方
at 02 :38| 映画 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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