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2006 年09 月08 日

「キングス&クイーン」

2時間30分という上映時間に加え、チラシの内容紹介がメロドラマっぽかったので、見るべきかどうかかなり迷った。実のところ韓国の怪獣映画「グエムル」というかペ・ドゥナ(ラブリ〜♪)が見たいなと思ったのだが、結局、シネモンドの年間フリーパスが9月イッパイだったので、最後の追い込みとして「キングス&クイーン」をみる事に決定。まあ、外しても人生の修行くらいにはなる…。
で、見てみたところが、これが意外と奥が深い。シリアスな苦さとハジケたコミカルさが激しく入り混じった、なかなかエキサイティングな作品でビックリ。怪獣映画を見に行こうと思った自分が恥ずかしい…。

映画は、主人公の女と、別れた2番目の恋人の話の二つの物語が平行して進んでいく。
まず、主人公の女の方は、経営している画廊もうまくいき、実業家の3人目の恋人と結婚間近と順風満帆なのだが、父親が末期ガンであることが発覚。父親の看病と、今まで父親が預かっていた1人目の恋人との間にできた子供をどうするかという問題が持ち上がってくる(←シリアス)。
一方、2番目の恋人の方はというと、これがエキセントリックなビオラ奏者なのだが、何者かの訴えで精神病院に措置入院させられる。しかし、友人の弁護士と薬品庫に睡眠薬を盗みに行ったり、看護婦を口説いたり、自傷癖のある女子大生に慕われたりと結構楽しそう(←ハジケ)。
で、主人公の女は、同棲中に息子がよくなついていたことから、2番目の恋人に息子を引き取らせようとする。ここんとこだが、日本ではシチュエーション・コメディに発展しそうな設定である。しかし、この映画では前の恋人とできた子供を、別の元恋人に引き取らせて、自分は3番目の恋人と結婚するという行為がいかにも当たり前に描かれていて、子供も元恋人も「おいおい」と突っ込むような野暮なことはしない。ぬうう、これがフランス文化か〜。
まあ、それはさておき、この2番目の恋人のダメっぷりがナイスでわらかしてくれる。まあ、わがままな駄々っ子みたいな感じ。これに対して女の方はおっとりしてるようでいて、無自覚なエゴイストというか、我を通してしまう激しさを持っている(しまいにゃ、父親に遺書でダメだしされる。この過激な遺書にも愕然。フランスってコワイ〜)。この対照的な2人の話が最終的に子供を通してひとつにまとまってゆく。

喜劇と悲劇、自由と拘束が激しく交錯し、やがて静かなラストに至る演出はなかなか凄い。いろんな要素というかジャンルがミックスされているのだけれど、ごった煮的な感じになることもなく(それはそれで楽しいのだが)、実に自然に、スマートにまとまっている。これだけうまくできてると、2時間半という上映時間もボリューム感があってお得です。


でも、結局「グエムル」(ドゥナ〜♪)も見にいくと思う…。

投稿者:親方
at 01 :08| 映画 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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