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2007 年01 月30 日

「悪魔とダニエル・ジョンストン」

ダニエル・ジョンストンって、はっきり言って聞いたことなかった。音楽を、と言うのではなく、その名前すら聞いたことがなかったのだ。まったく迂闊なことである。

この映画は音楽ドキュメンタリーというのではなく、この天才の半生を丹念に追っていったものだ。普通、こういうドキュメンタリーは関係者のインタビューと作品で追いかけていくのが常套手段だが、この人の場合は、その他に自主制作映画や絵画、そして膨大な量のテープに吹き込まれた日記やオーディオレターが残っており、当時の彼自身の声によって人生が語られている。
で、これがへこむ。今はもうダメになっちゃった感のある人の、正気の頃の(と言ってもかなり変わっているが)声が流れるというのは悲しい。

また、躁鬱病と宗教性の妄想(両親は厳格なキリスト教原理主義者、って「キャリー」か?)、さらに薬のせいでデブデブになって幼児に戻ってしまったかのような状態になっても、それでもなお心に残る音楽を奏で続ける姿は、その音楽とあいあまってホント切ない。よく世の人は「狂気と創造性」について語るけど(それも多分にロマンチックに…)この人の場合は病気。多分そのために創造性はかなり妨害されてしまっているのではないかと思う。それでも、妄想で硬直したり、薬で霧のかかったような精神を突き破って、魂が噴出するような演奏をする姿には感動する。もしこの人がギリギリの狂気というか気まぐれ屋の変人くらいにとどまっていたら、私でもその音楽を聴いたことあるくらい(ちなみにボブ・デュランくらい?)大物になっていただろうに…。

「エクソシスト2」じゃないけど、悪魔はまず輝きを持った人から引っ張っていってしまうのだろうか…。ああ、へこむ…。

投稿者:親方
at 01 :54| 映画 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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