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2007 年03 月06 日

金沢美大卒展

美大卒展2007日曜日は金沢美大の卒展を見に21世紀美術館に行ってきました。
今年も去年に引き続き、最終日のギリギリのタイミング。
15時30分に会場に入り17時まで急ぎ足での鑑賞…だって、朝6時まで飲んでたんだもん、って飲まなきゃいいんじゃね?(自問自答…)。
会場の様子(金沢美大HP)



という訳で、ざざっと見て回ったもののなかから、特に印象的な作品をピックアップ!

まずは工芸。
やはりここはドデカイ青銅のリュウグウノツカイ(?)が圧巻。置物ではなく完全に彫刻サイズで、金属価格高騰の折りよく作った…というほどではないが、なかなかの迫力。
その一方、独特のツヤと厚塗りで盛り上がった感じがなかなかソソる、漆を使ったポストカードというのもあった。これなんかけっこう欲しいかも。技法としても面白いと思うし。
あと、いいなと思ったのは、「標本箱」という作品。ジャンルは染色ということになるのだろうが、どちらかというと絵画的な作品。動物の頭蓋骨などを組み合わせた絵柄でなかなかクール。イイ感じだ。

油絵では絵よりもアニメーションのほうに目がいってしまった(映画好きなもんで…)。
3本ばかし見たが、さすがにデッサン力などスキルの高さを感じさせる。
内容的には「House Drawing」という作品が印象的だった。家の中にどんどんものが書き込まれていって散らかってゆく様子と劇中に出てくるメルヘンチックな家との対比が胸を突く。下手なVD作品より出来がよいと思うが、家の散らかりように共感してしまっただけかも(笑)。

その、視覚デザイン(VD)のアニメーションでは、「赤ずきんと健康」がユルユルで面白かった。美大のアニメーションではセリフ入りのものは少ないのだが、この作品はセリフに加え、ミュージカル仕立で、なんと歌まで入っている。ストーリーはオオカミに食べられた赤ずきんが、オオカミの腹の中で「内臓の精」(ベレーをかぶった女の子…)に出会い、メタボリックシンドロームを直すため脳へ旅するというもの。セリフ・歌などは、すべて作者(♂)がやっているようだが、イタイ感じがまったくないところが凄い。一見ユルイが侮れない作品だ。
これに対して、いかにもVDらしいキレを見せるのが「音量ワールド」。テレビなんかの音量を示すアイコン(?)の「>>>>」みたいなヤツを擬人化(ちょっと「10本アニメ」に似た姿)した作品でアイデアの勝利。ほか刺繍でアニメーションしている作品とかもありちょっとビックリ。

今回、VDで気になったのはお笑い集団「明日の穴」の三好君の「モザイク」という作品。

これは立体モザイク(モザイク模様とかではなく特定のジャンルのビデオでよく見かける方のモザイク)とでもいった作品で、ビデオで肝心のものが四角いタイル模様になるように、対象物は立方体のキューブ(同じ言葉の繰り返しか?)によって置き換えられている。

作品は3つに分かれており、一つは「■=0.03mm」(だったか?)、もう一つは「■=ダイヤモンド」(■はキューブ)と、それぞれ注釈の張られた台の上に、いくつかキューブが積んである。
で、その横に今度は「■=コンタクトレンズ」という注釈が張られた大きな台の上に、キューブで構成された這いつくばった像(レゴで作ったような感じ)と、その後ろにコンタクトレンズを表すキューブが1個置いてある。ああ、我ながら説明がまどろっこしい…。

これが妙におかしい。
サイズをキューブに置き換える、素材(あるいは価値)をキューブに置き換えるという抽象的というかモダンアート的なもののあとに(あるいはそれと等価に)、落としたコンタクトを這いずって探す人という下世話なものを、前の2者のルールをそのまま適用して提示するというのがなんか笑ってしまう。よくわからんが、同じルールでありながら前2者と「コンタクトレンズを探す人」のあいだで、何かズレが生じているのだ。
作りそのものは、やや雑な感じがするが、コンセプトは素晴らしい。今回一番考えさせられた作品だ。というか、考えれば考えるほど凄いような気がしてくる…。

うーむ、恐るべし。これが噂に聞く三好アートか…。まあ、私の誤読かもしれんけど…。

投稿者:親方
at 02 :28| アート | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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