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2007 年03 月13 日

「ルナシー」

いやぁ〜、面白い!
予告編で「哲学的ホラー」だの、タンが這いずり回ったりと「イレイザーヘッド」風の映画かと思いきや、なかなか愉快な映画。2時間3分とやや長めだが楽しめた。

精神病院で死んだ母親の葬儀の帰路、悪夢にうなされ主人公が宿の部屋をメチャクチャにしてしまうところから話は始まる。この青年、母親が精神病院に入れられたトラウマのせいか、ストレスが高まると、太ったスキンヘッドの精神病院職員二人組が拘束衣を手に捕まえにくるという悪夢を見て大暴れしてしまうのだ。
翌朝、宿の主人はもちろん、他の客にまで白い目で見られる主人公。そこへ「侯爵」(サド侯爵がモデルね)と呼ばれる男が現れ、宿の損害を弁償した上、一緒に来ないかと主人公を誘うのだが…。

このイカレた、やたら大笑いする侯爵がイイ。
自らの自由のためには神も自然も否定したり、これまた母親が「早すぎた埋葬」(生きているうちに、間違って埋葬されちゃうこと。このあたりエドガー・アラン・ポーのモチーフね)をされたというトラウマから、仮死状態になる発作を起こしたりするんだけど、これもまた楽しんでいるようなところが、なかなか痛快。

さらに「予防療法」と称し、コントロール可能な条件下で悪夢と同じ内容を実際に体験させ治療するという、怪しげな精神病院の院長に紹介されて、主人公は精神病院に体験入院することに。ここでさらに怪しげな看護婦があらわれ「侯爵や院長は反乱を起こした患者で、本当の院長や職員は地下に監禁されている」などと言い始め、「ホントに狂っているのは誰」的な展開に…(まあ、こういう場合、全員狂ってることが多いのだが)。

一方、映画の冒頭から、ストーリーに関係なく、這いずり回る生肉のコマ撮りアニメが所々挿入されている。これがまた、悪趣味だが、どこか陽気でキモカワイイ。タン(舌)や目玉や脳まで群れをなしてはい回ったり、石垣の隙間からあふれ出したり、舞台の上でマリオネットになったりと、とにかくシュール。たまりません。

まあ、このようにゴキゲンな映画なのだが、気になったのは、神と涜神的行為、自然と人間、自由と拘束あるいは肉体と精神というふうに「二元論」が多用されていること。ちょっと「欧米か?」と聞きたくなった。まあ、さすがに肉体と精神の二元論については否定的な感じだけど。

あんまり関係ないけど、「狂人の解放療法」つながりで夢野久作の「ドグラ・マグラ」を思い出した。これにも「脳髄はものを考えるところにあらず」とか独特の身体論が出てきたりして、比較すると面白いかも。

そういや、長らく読んでないよなあ「ドグラ・マグラ」。映画の方も、小説のような異常なパワーはないが、手際よくストーリーをまとめていたり(小説は「胎児の夢」だの「脳髄はものを考えるところにあらず」だの「狂人の解放療法」だの「九想図」だの枝葉が強烈すぎてストーリまで目がいかなかったりする)、今は亡き桂枝雀の怪演とか、なかなかよかったと思う。ビデオショップで見かけたら是非借りてください!

それにしても、あの肉…。
食べ物で遊んじゃダメだと思うぞ…。

投稿者:親方
at 02 :41| 映画 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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