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2007 年06 月22 日

「黒い眼のオペラ」

いやあ、アジアだなあ…。

舞台はマレーシア。貧しいバングラ(?)の外国人労働者が行き倒れの中国人を宿に連れ帰るところから始まる。
外国人労働者が集まる宿とその生活。主人公達が訪れる、おそらくは建築途中で放棄されたビルの廃墟には、水がたまって池ができている。ラジカセから街頭からテレビから流れてくるオペラ、京劇、インドのミュージカル映画、中国やマレーシアの歌謡曲…。

動きの少ない長回しのカット(寝てるとこや向こうから歩いてくるとこなんかをじっと撮ってたりする)で、ほとんど1シーン1カットで構成されているまったりした映画なんだけど、なんか空気が異常に濃密。また、説明的なシーンもなく、なんか曖昧なまま、淡々と話は流れていくが、どこか不穏な緊張感が漂っている。

蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)の映画は見たことないが…と書こうと思って、今、念のため調べてみたら「Hole」が蔡明亮作品。うーん言われてみると同じテイストだ。さらにこの映画ではウェットさと濃密さが増してきていて、ほかにはない感じだと思う。

ラストがなんかイイ。
感動のラストというのではなく、非常に象徴的なシーンで終わるのだが、藤原新也の「メメント・モリ」を思い出した。
説明するのが難しい映画だが(私の文章力では…)いい映画です。

それにしても、この映画をアベックで見に来てる人たちがいたなあ。筋金入りの映画ファンカップルなんだろうか、それとも内容を見誤って来ちゃったんだろうか…。まあ、イイ映画だけど、カップルで見て楽しむ映画ではないよなあ…。

投稿者:親方
at 02 :12| 映画 | コメント(1 ) | トラックバック(1 )

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「黒い瞳のオペラ」そろそろこんな馴れ合いは止めようよ。
「黒い瞳のオペラ」★★☆
リー・カンション主演
ツァイ・ミンリャン監督、台湾2006年(118分)



マレーシアの裏町、
チンピラに殴られ、倒れていた主人公は
バングラデッシュあたりからの出稼ぎ労働者に
助けられ、介抱してもらう。

そして回復してからも
...
[ soramove ]

◆この記事へのコメント:

◆コメント

おお、久々にまともなトラックバック!ありがとうございます。

うーん、なるほど。確かにキツイ映画ではありました。
実のところ、結構、寝ちゃってました。“レンタルでもキツイ”というより、映画館でなければ集中できないたぐいの映画かも。

でも、特にこの監督のファンではないんだけど、この映画の「空気」が好きです。単にアジアの風景を切り取っているのではなく、精神性みたいなものが出てるような気がします。

まあ、ただ単に固定カメラ長回しが、生理的に好きなだけだったりして…。

投稿者: おやかた : at 2007 /07 /03 03 :16

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