2011 年8 月13 日
らーめんと俺とオヤジ
先日ウマいと評判のラーメン屋さんに行ってきました。
色々勉強になったので書かせていただきます。
(※長文になりますので気合を入れてお読み下さい)
最近よくあるオシャレなラーメン屋ですね。
お店に入ると店員さんみんな超元気にあいさつです。
入っただけで超元気にあいさつ。
おしぼり渡すだけで超元気にあいさつ。
注文しただけで超元気にあいさつです。
・・・何やねんって思います。
「心を込める」というよりは
「よく分かんないけど、とにかくテンション高めて働こうぜ〜!」的な
自己満足の世界ですね。
活気があるのはいいことですが、ただうるさいのは違うと思います。
出てきたのは背脂たっぷり具だくさんのラーメン。
一口食べると「う、うまい・・」ビックリです。さすがやな〜。
思いました。一瞬。
しかし・・・。不思議と半分くらいで飽きてくるんです。
最後の方になると、嫌になってくる。
ほんでもってラーメン一杯700円とか800円普通にしますからね。
みなさんどう思いますか?
「これが最近みんながウマいって言うラーメンですから
あなたもウマいって言ってください」という押しつけの味に感じました。
もちろん食べ物は大事。
ラーメン一杯の中にたくさんの命が犠牲になってるわけですから
俺は感謝をこめてスープまで飲み干します。
しかーし!「これでいいのか!?日本人!」って思います。
素材の味が隠れるくらい色々と虚飾をつけて高い値段をつける。
おかしくね・・?
まるでチケット代ばかり高くて、超大人数のオーケストラが不協和音を奏でているようです。
日本のミュージックシーンを見ても全く同じことが起きています。
TVでド派手に演出。世界に翻弄されたJ-POPの世界。
「これ、みんないいって言ってるんですよ。
だからあなたもいいって言って下さい」と言わんばかりの演出。
CDはバカ売れ。
しかし半年後には、中古CDショップに売られ、ずらりと並んでいる・・。
はじめはね、「お、いいんじゃね?」ってちょっと思うんですよね。
でも、すぐ飽きる。
そこに込められた思いが無さすぎるんだと思います。
「日本人として」世界を取り入れたのではなく、
世界に簡単に弄ばれているニホン人。
学生時代、大好きなラーメン屋さんがありました。
オヤジは超無愛想。
店内に流れるのはオヤジが振るチャーハンの鍋がコンロに当たる
「カン、カン」という音だけ。
オヤジの背中が放つ迫力。
妙な緊張感。笑
胡椒も何にも置いていない。
メニューは「ラーメン」と「チャーハン」だけ。
一杯500円。
めっちゃウマいんです。そして深い・・。
あっという間にスープまで飲み干してしまう。
これ以上でもこれ以下でもない完成された超シンプルなラーメン。
素材一つ一つが大切に扱われ、活き活きと羽を伸ばしているような味。
どこまでも続く満足感。
いつ行っても満員でした。
しかもそのオヤジはギタリスト。笑
オヤジとの出会いは、俺がボーカルとして所属していたブルースバンドの
ライブ時。(当時20歳)
はりきって一曲歌い終わったその瞬間。事件は起きました。
「こらぁ!そんな演奏してたら、アメリカじゃレンガ飛んでくるぞ!ボケ!」
客席から怒鳴り声を浴びせる酔っ払い。
そう、それがあのラーメン屋のオヤジとの出会いです。
俺はショックであっけにとられたが、その後これでもかというくらいの気合で歌いまくった。
後日。そのオヤジのギターを聞く機会がありました。
無駄のないフレーズ。その音は力強く繊細で美しかった。
本能に直接訴えかける叫びにも似た哀しい響き。
それでいて快感でしかないその音を聞くと、
この人のギターを言葉で説明することは明らかに無力で愚かな行為だと悟った。
そして、更にその数日後、オヤジのラーメンを口にして思いました。
ギターと一緒や!
オヤジの人生そのものや!
このラーメンはブルースや!(笑)
オヤジ = ブルース = ラーメン = 人生
・・・それから俺とオヤジの言葉少ない、それでも分かり合った者同士の付き合いが
続きました。
俺が一年生を四回やって大学を中退し(笑)、その地を離れることを告げに行くと、
オヤジは長年大切にしてきたレコードを全て俺にくれました。
「中古ショップで訳わからん奴に持ってかれるくらいなら、
お前に全部やる。」
そういって段ボール3箱にレコードぎっしり詰めて俺にくれました。
数々のブルースの名盤がありました。
その中に落語とかお経のレコードも混じってました。笑
俺の人生の1ページのほんの片隅に登場してきたラーメン屋のオヤジ。
しかしその存在はストーリーを大きく変えてくれました。
派手なのはいいと思います。
しかし、それはシンプルであることの魅力、深さを分かったうえでの
応用でない限り、一瞬目を引いても簡単に飽きられてしまうでしょう。
自分はどうなんだろう・・・?
・・・・まだまだ甘すぎるな・・。
あのオヤジのような感動を人に与えているのだろうか?
これが、あのオヤジのラーメンです。
超シンプル。
シンプルを極めたこのラーメンには誰も勝てません。
なぜならこのラーメンは
「調和」そのものだからです。
※このラーメンを食べてみたい!という方。お教えします。
詳しくは受付まで。笑