2005 年03 月17 日
失われつつある名工の系譜
当工房の木地師、永島さんは県内の仏壇業界では一目も二目も置かれる超一流の職人だ。
しかし三代にわたる永島家の木地には跡取りがいない。
職人への発注単価はどんどん下がり、永島さんのように
仕事に妥協できない人ほど赤字になる時代だ。
だから時代に合わせられない永島さんは弟子を取らない。
「自分の代で消えるのであれば、時代の流れやから」
という。
金沢和傘の松田弘さんも弟子を取らない。
総手造りの金沢和傘は月産20本。
売値は25000円前後だが材料代など原価は相当いくそうだ。
年季70年、全工程を一人で作る全国で唯一人の名工の
評価として正当なのだろうか。
「若い人は会社勤めのほうが収入になるし幸せやわいや」
と松田さんは屈託なく笑う。
石川県のアイデンティティとは文化力だと思う。
文化を支えるのはゼネコンが造る巨大駅舎や県庁では無い。
人だ。間違いない(本気)
100万都市1000万都市を向こうにまわして、
日本屈指の文化立国たらしめたのは、
名も無い多くの職人達の力ではなかったでしょうか。
いま、石川の文化を支えてきた名も無い多くの系譜が
断たれようとしている事実を知っていただきたいのです。
投稿者:与五朗(よご)at 14 :58| 伝統工芸 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )