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2005 年03 月19 日

仏壇塗師の就職試験

親方が弟子入り仕立ての頃の話。

仏壇の塗職人にとって最優先の適性条件は
手先の器用さでも真面目さでもなかった。

なにより
「漆にかぶれるかどうか」
ということじゃった。

そして、そんな仏壇職人には影の就職試験があったそうな。


弟子入り初日の緊張する少年。
なにやらほくそ笑んで忍び寄る先輩職人。

先輩は少年に気づかれないように話しかける不利をしながら
首筋の肌の弱いところに、強い生漆をたっぷりつけるのじゃった。
むかしむかし

間もなく、繊細な者は首に強烈な痒みをおぼえ真っ赤にかぶれる。
不合格じゃ。(現代だと人権侵害で訴えかねられない^^;)

首に黒い痕をついていることも知らず、のほほんと仕事を続ける者。
合格じゃ。

こうした厳しい試練(漆に弱い人には地獄のような仕打ちである)
を越えて、初めて仏壇塗師の道が開かれたのじゃった。

投稿者:与五朗(よご)at 13 :23| 伝統工芸 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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