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2009 年05 月29 日

戸締り用心火の用心

特に予定の無かったある休日の昼下がり、私は居間で掃除機をかけていた。1歳2ヶ月を過ぎようやくたどたどしくはあるが歩き始めた我が子が、ごうごうと音を立てて部屋中を反復移動する掃除機に強い関心を抱き、一生懸命ついてまわる。誤って小突いてはならないと、少し離れるように手で制し、だめだよと言葉で促しても分かっているのかいないのか全くめげずにゆっくりとしかし不断の努力でついてくる。

掃除を終えた私は出かける前に庭に干してある枕カバーやシーツなど洗濯物を取り込もうと思い、紫外線で褪せに褪せたサンダルを履き庭に出て伸びた雑草を避けながらせっせと取り込んだ。

つい先日草刈を行ったばかりだと言うのにもう膝丈程に伸びている。
”雑草別れて三日ならば、即ち当に刮目して相待つべし”と心得る。
ここは新調したばかりの長柄鎌の試し切りをしてみようか・・・といらぬ事を考えてしまった。いつも草刈を始めると長引いてしまうので出かけるのが遅くなると妻にはあまり評判の良くないこの仕事。しかし私は善良なる管理者の注意をもって物件を使用する義務があるのだ。雑草を刈りたいのだ!

息子も室内から手を振り応援してくれたような気がした。妻は今浴室の掃除に取り掛かっている。あと15分は大丈夫だと思う。早速長柄の鎌を取りに納屋へ行こうとしたその時、息子に鍵を閉められた。驚いた私の顔を見ながら笑っている。彼は閉める事はできるが未だ開けることはできない。

まあ、草刈をしているうちにそのうち妻が浴室の掃除を終えて戻ってきてくれるだろうと思い、私は父の威厳を保ちつつ何事も無かったかのように草を刈り始めた。長柄鎌は良く働く。実に軽快だ。順調だ。仕事が捗る。欲を出して庭の奥まで草を刈り取った。

もういいだろう。

しかし、待てど暮らせど鍵を開けてくれる者は一向に現れない。どうしたのだ。なぜ今日に限ってカビキラーを撒いたのだ。待ち時間があるので買い物にでも出かけたのだろうか、家の周りをぐるぐる回っても室内の妻の姿を見つけることはできなかった。もう何分経っただろう。疲れた。とても疲れた。息子よ、鍵を開けてくれ。早急に開けてくれ。父はそろそろトイレに行きたいし、牛乳などを飲んで一服したいのだ。

この日息子はようやく鍵を開けることを覚えた。私が必死にジェスチャーで開ける動作を伝えたのだ。人間やればできる。言葉は通じなくてもボディランゲージでリチャード(英国)とコミュニケーションをとった日のことを思い出した。あのときよりも大変だった。

何とか家に入ることはできたが、その日から出かける前に家の戸締りをさらに用心して確認する必要が生まれた。一難さってまた一難。人間万事塞翁が馬である。


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投稿者:○○君
at 20 :07| ターセル2 | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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