2012 年06 月20 日
第48回日本肝臓学会総会
第48回日本肝臓学会総会を平成24年6月7日(木),8日(金)の2日間,当教室の金子教授が会長として,金沢市の石川県立音楽堂,ホテル日航金沢,ANAクラウンプラザホテル金沢,金沢市アートホール,もてなしドーム地下広場にて開催いたしました. 14年ぶりに金沢で開催された今回の総会は,「これからの肝臓学 〜継承と創造〜」をテーマとして企画いたしました.2900名を越える医療従事者の方々に御参加いただき,過去最高の1096演題の応募演題を通して,肝臓学の体系を学び継承するとともに,新たな医学と医療を創造する場になったのではないかと思います.プログラムには,現在の肝臓学のうち最も克服すべき疾患として注目されている「B型慢性肝炎」「C型慢性肝炎」「肝細胞癌」をシンポジウムとして取り上げました.90分のコンパクトなシンポジウムでしたが,それぞれの分野を代表する先生方にトピックスを体系立てて御講演いただき,とても聞き応えのあるシンポジウムとなりました.また26のテーマに分かれてパネルディスカッションならびにワークショップが開催され,会員がそれぞれの知見を持ち寄り,活発なディスカッションが行われました. 最近演題数が増加したためにセッションが並列し重要な発表に立ち会えなくなった,あるいは肝臓学の広がりとともに知りたい分野でも十分に理解できないということもあります.そこで今回の総会では,各分野で活躍しておられる先生にお願いし、発表時間と異なった時間にサマリーセッションを設け,演題の“まとめ”をしていただきました.限られた時間の中での準備作業となり担当の先生には御苦労をおかけしましたが,参加者の広く深い理解につながり,好評を博しました.今後の学会運営のひとつの方向性を示したのではないかと思います. 特別講演として,ノーベル賞受賞者の益川敏英先生(京都大学名誉教授、名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構),招請講演では文化功労者の松原謙一先生(大阪大学名誉教授)に御講演いただきました.益川先生は「現代社会と科学」と題し,高度に発達した現代科学にどう相対すべきかを説かれ,「統一感ある学問の全体像を見失わないよう常に努めることが大事だ」と強調されました.また松原先生には「RNAチェック 〜免疫機構の検査による病気の診断について〜」と題して御講演いただき,新しい医療の形を見せていただきました.この特別講演,招請講演は一般市民にも開放され,満席となりました会場にて最高峰の科学者の学問する心を感じていただけたと思います.
また今回は総会とは独立して3日目に教育講演会も開催し,こちらにも800名を越える先生方に御参加いただきました.基礎的な演題として,肝臓と生活習慣病との関連を理解する際に重要である肝臓における栄養代謝,このところ進歩の著しい肝細胞癌の免疫を選びました.また,会員にとって常に知識をupdateする必要がある肝臓学の分野の中から急性肝不全,肝硬変の栄養管理,肝癌のMRIの3演題を選びました.患者数が多く,日進月歩であるB型肝炎,C型肝炎,進行肝細胞癌の3分野は,それぞれ最新の治療について改めて御講演いただきました. 金沢は加賀百万石を今に残す町であり、食事や芸能,文化施設に恵まれている街です.学会期間中は天候にも恵まれたこともあり,学会の前後には金沢を堪能していただけたのはと想像しております.最後に総会を盛り上げていただきました御参加いただいた先生方,ご協力いただきました企業の方に,この場を借りて厚く御礼申し上げます.
(文責:事務局)
投稿者:第一内科医局員
at 16 :20| トピックス