2008 年9 月4 日
虚偽診断で障害者手帳
札幌で聴覚障害者手帳が不正取得されたとして、医師が虚偽診断書作成罪で告発され、手続に関わった社会保険労務士が家宅捜索を受けた。耳が聞こえるのに聞こえないという診断書を作成するのは言語道断だ、とも思うが、目の前で患者さんから聞こえないと言われたら、どうしようもないのではないか。まさか、「あなたウソ言っているでしょう」とは疑えないだろう。聴覚の検査といっても、どれも被験者の申告によるのではないか。それこそ、「あなたは耳が聞こえないのですか?」と聞いて「はい。聞こえなくなったんです」と答えられたら、それを信じるのはどうかと思うが、世の中そんな笑い話ばかりではないだろう。
ところで、社会保険労務士は社会保険等に関する申請書の作成や手続代行をその業とする。身体障害者手帳の申請手続をするのは、正に社会保険労務士の仕事ではないか。それなのにどうして申請手続に関わったとして社会保険労務士が家宅捜索を受けるのか。
不思議に思ったが、社会保険労務士法を見ると、社会保険労務士は「別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等を作成すること」(法2条1号)とあり、別表第一を見ると、障害者雇用促進法や国民年金法や国民健康保険法はあるが、身体障害者福祉法はない。したがって、障害基礎年金や傷病手当金の申請はできるが、身体障害者手帳の申請はできない。なるほど!と思うが、果たして国民として納得できるだろうか。それらの申請の違いに一体どれだけの違いがあるのだろう。身体障害者手帳の申請は自分でやってくださいと言われても、障害があるからこそ、自分で申請ができないからこそ、社会保険労務士に申請書の作成や手続を依頼するのではないのだろうか。それとも、法が身体障害者福祉法を除外しているのは、行政が申請者に直接面談して障害の有無を判断するためだとでも言うのだろうか。