2014 年1 月16 日
税転嫁拒否取締り公表
公正取引委員会の中島事務総長が定例記者会見で、消費税増税前に増税分の価格転嫁を拒む小売業者を取り締まる対策について執行内容を定期的に公表したいと話したとの記事が載っていた。恥ずかしい話、今まで知らなかったが、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」が制定されている。
その立法趣旨は、「消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため」という。
大手販売店が消費税還元をうたった安売りセールのために仕入れ価格を抑えれば、中小零細の納入業者に税負担がしわ寄せされる恐れがあるから、特定事業者による消費税の転嫁の拒否等の行為を規制するのはまだ理解できないでもないが、仕入業者にしわ寄せをせずに自らの営業努力で消費税増税分を吸収することまで禁止する合理性はあるのか。ましてや、広く事業者による消費税の転嫁を阻害する表示(8条 下記参照)までも規制する合理性は理解し難い。 もう少し説得的な立法事実を提示すべきではないか。
(事業者の遵守事項)
第八条 事業者は、平成二十六年四月一日以後における自己の供給する商品又は役務の取引について、次に掲げる表示をしてはならない。
一 取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示
二 取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示であって消費税との関連を明示しているもの
三 消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって前号に掲げる表示に準ずるものとして内閣府令で定めるもの