2019 年9 月5 日
行政事件における裁判官の常識と市民常識
判例地方自治9月号を見ていたら、政務活動費返還請求訴訟(大阪地裁H30.12.19 三輪コート)と一般競争入札住民訴訟(大阪地裁H30.5.24 山田コート)の判決が載っていましたが、三輪コートは、会派控室の補助職員給与は会派活動とかは政務活動の区別がつかないから2分の1を超える部分は政務活動費としては認められないとする住民の主張(普通はそのような運用基準が定められている議会が多いが、大阪市はなかったようです。)を、きっぱりと「全証拠によってもそのような事実を認めるに足りない」と排斥。
山田コートは、入札業者3社のうち2社は予定価格を上回る価格で応札したので失格、落札業者は予定価格通り(100%)応札して落札した事実から談合が推認されるとの住民の主張(注:こんなことを論文に書いたことあったな)を、「東日本大震災の影響で人件費や資材価格が高騰していたという当時の状況を考えれば、業者の積算価格が実勢価格や予定価格を上回ることはあるし、予定価格を下回る価格で応札する者が出現するなら仕方ないと思って予定価格通りで応札するのも経済的見地から十分合理的と言える」と排斥。
どちらも裁判官の自由心証主義の範囲内なのかもしれませんが、市民常識からは甚だ逸脱した判断だと思います。
日本の行政訴訟にも、刑事事件のように陪審、せめてドイツ流の素人参審員の参加が求められるところです。