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2021 年7 月14 日

誰一人取り残さない民事訴訟のICT化?

民事訴訟のIT化が急激に進行している。民事訴訟のIT化というのは「3つのe」すなわち,「e提出(主張・証拠をオンライン提出に一本化,手数料の電子納付・電子決済,訴訟記録を電子記録に一本化)」「e事件管理(主張・証拠への随時オンラインアクセス,裁判期日をオンラインで調整,本人や代理人が期日の進捗や進行計画を確認)」「e法廷(ウェブ会議・テレビ電話会議の導入・拡大,口頭弁論期日の見直し,争点整理段階におけるITツールの活用)」だ。

判例時報6月21日号にも、民事訴訟のIT化というのは、民事司法過程へのユビキタス・アクセスを保障するものだ、誰でも何時でもどこからでも民事司法過程にアクセスすることを可能にするものだ、そのためには利用者への配慮、特に多様な市井の人々、特に社会的弱い立場にある人への配慮は怠るべきではないとする論考が掲載されている。

しかし、誰でも何時でもどこからでも民事司法過程にアクセスすることを可能にするというのに、どうしてオンラインでしかアクセスを認めないのか、どうして従来通り紙ベースの訴訟を許容しないのか。誰もが一人残さずオンラインで訴訟をすることを前提に、できない人に配慮するというが、どうしてオンラインでは申し立てない人への配慮はしないのか。私にはさっぱり理解できない。

これは、先日、最高裁で裁判があった夫婦別姓訴訟の論理を見るようだ。最高裁の法廷意見は夫婦同姓の合理性を強調するが、夫婦別姓論者も誰もが夫婦別姓にすることを求めているのではない。夫婦同姓に例外を認めてほしいといっているにすぎない。だから、問題は、夫婦同姓の合理性ではなく、夫婦同姓の例外として夫婦別姓を選択的にでも認めない合理性が問われていた。

多様性が大切だと言いながら、どうして同質であることを強制するのか。「誰一人取り残さない」というのが、ごく自然に、紙ベースを許さない、「誰一人例外を許さない」ことになっている。これも日本社会の同調圧力か。

投稿者:ゆかわat 22 :53 | ビジネス | コメント(0 )

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