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2010 年05 月01 日

保証人が担保不動産処分に反対しているので債務弁済ができない?

Rei220429


最近の法律相談から。

Q 当社は中小企業者に当たるところ、銀行から借入して工場用地を購入しましたが、この度、その用地を一部売却して借入総額を減らすことにしました。銀行もこれに同意しているのですが、信用保証協会の保証付きの借入であったため、保証協会が保証人の担保解除同意を求めてきました。ところが、保証人の一人が担保不動産の売却=担保解除に同意しないため、保証協会が抵当権解除に応じません。そのため、担保不動産の一部売却ができず、このままでは資金繰りに支障が生じてしまいます。どうしようもないのでしょうか。

A 工場用地の一部売却による負債圧縮は、会社の財務体質を改善し、資金繰りを円滑化するものであり、会社にとっても、銀行にとってもプラスです。それにもかかわらず、信用保証協会が保証人の担保解除同意を求めているのは、後に信用保証協会が保証人から担保保存義務違反を問われることをおそれてのことです。つまり、たとえば、本来なら担保不動産の価値は610万円で、610万円保証額が減るべきところ、会社が550万円で処分したから、差額60万円は保証人は責任を負わないと言われるのを避けるためです。
 しかし、そもそも会社が担保不動産を一部売却して負債総額を圧縮するというのは、金融円滑化法に基づく貸付条件の変更の申込に当たります。したがって、金融円滑化法に基づき銀行はこの貸付条件の変更に応じて債務負担軽減措置をとるべき義務があります。
 そして、信用保証協会は銀行と緊密な連携を図って銀行の債務負担軽減措置に協力する義務があります(金融円滑化法には、「銀行は信用保証協会と緊密な連携を図ること」とありますが、その趣旨は信用保証協会も金融円滑化に協力しろということにあります)。

 ところが、今回の信用保証協会の対応は、中小企業者の債務負担軽減措置に協力するどころか、中小企業者が破綻して負債の返済を怠って保証人に対して保証債務履行請求する場面を想定して保証協会の負担を減らすことだけを考えた、極めて後ろ向きの対応です。したがって、信用保証協会の対応は金融円滑化法に明確に反するものです。
 さらに、銀行は信用保証協会が謝絶したことのみを理由として債務負担軽減措置を拒絶することは許されません。このことは、金融検査マニュアル金融円滑化編チェックリストにも明記されています。
 したがって、銀行及び信用保証協会に対して、金融円滑化法に違反していることを告げてその姿勢を改めることを求め、もし銀行や信用保証協会がそれでもこれに応じないときは、金融庁(窓口は金融サービス利用者相談室)に対して改善措置の申入れをしてみてください。

投稿者:ゆかわat 21 :21| ビジネス | コメント(0 )

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