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2005 年11 月20 日

明治安田生命行政処分

明治安田生命が10月28日、今年2回目の行政処分を金融庁から受けた。業務停止命令と業務改善命令だ。

私自身が相談を受けた事案でも、不適切な保険金不払いがあった(成人病特約があり、指定の成人病で入院したときは特約保険金が出るという保険であるところ、会社は、入院前に当該成人病であることが判明していて、その治療のために入院したことが保険事由であると主張して、保険金を支払わなかった。しかし、そんな保険事由の解釈は聞いたこともなかったので、訴訟を提起するしかないかと思っていたところ、今年1回目の処分を契機にして社内見直しがされたようで、訴訟をするまでもなく保険金が支払われた。)。それだけに、今回の行政処分も、処分内容としては相当だろうと思う。

ただ、引っかかるのは、新聞報道によると、金融庁が10月中旬に今後の対応について報告を求めたところ、その報告内容に金融庁が憤り、同月24日夜に金融庁幹部が急遽集まり、厳しい処分を下すという結論になり、10月28日に処分発表となったが、その処分内容が予想以上に厳しかったので明治安田生命はそれに慌て、経営体制の大幅刷新は避けられないという判断に至ったというのだ。
何が引っかかるかというと、業務停止命令は明らかに不利益処分だから、行政手続法に照らせば、事前に告知を受け、弁明の機会が付与されるはずであって、金融庁の突然の処分発表で会社が慌てるということは考えられないからだ。

それに、24日夜に金融庁幹部が急遽集まって厳しい処分を下すことにしたというのも、腑に落ちない。不利益処分をするためには、事前に処分基準を作成しておかなければならず(努力義務ではあるが)、「幹部が急遽集まって厳しい処分を下すことにした」などということはあり得ない。不利益処分は、そんなに「恣意的に」行われるものであってはならない。

保険業法を見ても、行政手続法を見ても、保険会社に対する監督処分に行政手続法の適用除外規定はない(それとも、私の見落としだろうか)。行政手続法を無視した、「お上がその時の気分次第で行う」金融行政がいまだにまかり通っているのだとしたら、明治安田生命が恣意的に保険約款を解釈するのもさもありなんと思ってしまう。もしこれが私の誤解だとしたら、誰かご指摘頂きたい。

投稿者:ゆかわat 10 :43| ビジネス | コメント(0 )

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