2011 年09 月29 日
大阪地裁の誤判?
判例地方自治を見ていたら、情報公開請求事件についての大阪地裁判決(H22.9.9)が掲載されていた。 守口市職員懲戒処分に関する情報一部非公開決定の取消及び公開決定の義務づけを求める訴えだ。懲戒処分に関する情報は公務員個人の私事に関するものだから個人情報にあたる、あるいは事情聴取の供述内容を公開すると将来の同種処分に係る事務の適切な執行を妨げるおそれがあるから事務事業情報に当たるとして非公開決定を妥当したのは、やや疑問に感じないわけでもないが、首肯できないものでもない。しかし、義務づけの訴えを却下したのは理解しがたい。 判決は、「本件一部非公開決定は適法であって、その取消を求める請求は理由がないからこれを棄却し、上記決定において非公開とされた部分の公開の義務づけを求める訴えは行政事件訴訟法37条の3第1項第2号の要件を満たさない不適法なものであるからこれを却下する。」というのだ。 しかし、法37条の3第1項第2号のいうところの「処分が取り消されるべきもの」というのは処分が取り消されるべきものとして取消しの訴えが提起されればよいのであって、実際に取消しの訴えが認容されないときであっても、訴え提起時に充足された2号の要件が充足されなくなるのではなく、同条5項の「訴えに係る請求に理由があると認められ」の要件を満たさないとして棄却判決を受けるというのが法文の正しい読み方だ。義務づけの訴えに処分取消の訴えを併合提起することが訴訟要件であって、処分取消の訴えが認められることは義務づけの訴えの本案勝訴要件だというのは、どの教科書にも書いてあることである。 こんな初歩的な誤りを堂々とされると、本当に大阪地裁の行政部の裁判官を信用してよいのか甚だ疑問に思ってしまう。投稿者:ゆかわat 23 :27| ビジネス | コメント(0 )