2011 年12 月05 日
労災事故と個人情報
労災事故、それも事業者側、それも訴訟前の案件を受任した。あまり経験がないが、遺族に対する上乗せ補償をどうするかということで労働基準監督署に労災保険の事務処理状況を問い合わせた。 弁「事業者Y、労働者Xさんの労災事故の関係で、Yから手続き関係は終わったと聞いたので、今後、労災保険金の支給とかが何時頃になるのかお聞きしたいのですが。」 職員「個人情報の関係があるので、労災保険請求人ご本人からのお問い合わせにしかお答えできません。」 弁「上乗せ給付をどうさせていただくかを協議させていただくためにも、いくら支給決定されたのかはお聞かせいただきたいのですが。」 職員「直接ご本人さんからお聞きしていただくしかないと思います。」 弁「それでは何時支給決定されたのかというのは事業者にも通知がいただけるのでしょうか。」 職員「事業者には何の通知もいたしません。」(←えっ!保険料は事業者が負担しているのに事業者には一切知らせないというのはどういう保険なのだろう。) 弁「ご遺族は弁護士さんを頼んでおられないので、事業者代理人である私が労災保険手続きの状況についてご報告するということにしているのですが。」 職員「ご本人さんからお問い合わせいただいたらお答えできますので。」 弁「ご本人はお年もめしておられるので息子さんが事務手続きを代わって行われているのですが、息子さんが問い合わせしたらよろしいのですか。」 職員「まずはご本人さんからお問い合わせいただきたいと思います。」(←何と、杓子定規な答えだろう。) 弁「それでは一般論で結構なのでお教えください。労災保険の手続きが終わると何時頃支給決定になるのでしょうか。」 職員「行政手続き法上の標準処理期間は請求を受理してから4ヶ月となっていますが、事案により時間がかかるケースもあり、どれくらいでというのはお答えできません。」 弁「ご本人から照会すればお答えいただけるのでしょうか」 職員「その時点で支給決定の見込みが経っていれば何時頃と答えられますが、そうでなければ何時頃というのは答えられません。」 個人情報保護というが、事業者の事業場で労働者が労災事故にあったときの保険金支払の場面では、遺族も当事者(被保険者)であれば、事業者も当事者(保険契約者)なのであり、かつ、法律事務の代理を業とする弁護士は当事者に準じる立場にあるのだから、事業者代理人弁護士にも情報を提供すべきではないのか。個人情報がここでも一人歩きしているように感じた。投稿者:ゆかわat 21 :57| ビジネス | コメント(0 )