2005 年12 月09 日
東京出張〜行政不服審査制度研究会
今日は、総務省の行政不服審査制度研究会のヒアリングに呼ばれた。日弁連のプレゼンをするにあたって、行政不服審査の代理人経験のある弁護士ということで、どういう訳か私に白羽の矢が当たった。別にそんなに経験があるわけではない。たかが10分野程度(開発許可、建築確認、遺族年金不支給決定、河川占用許可、産廃処理業許可取消処分、ミニ保有税納税義務免除しない処分、仮換地指定処分、情報非公開決定、恩給裁定)で、国税も労災も経験がない。それでも経験が豊富な部類に入るらしい。委員の先生方からの質問対応要員でもある。京都を昼過ぎの新幹線に乗って、日弁連会館で打ち合わせの後、麹町会館へ。
行ったら、先に地方公務員災害補償基金のヒアリングを行っている最中だった。行政不服審査法について改正すべき点はない、強いてあげるとすると、審査請求人との口頭意見陳述の機会付与の日程調整が難航した場合に打ちきる制度を考えて欲しいという、ユーザーからすると、方向違いの意見を述べておられたのが印象に残った。
日弁連からは、担当副会長が行政不服審査法改正の意見を述べた後、私が自分の経験に基づいて、思うところを述べた。行政不服審査制度の現状は、およそ国民の権利救済に役立っていない。遅い、まずい、制度だ。それでもまだましなのは、情報公開条例に基づく異議申立制度、その次が都市計画法・建築基準法・労働社会保険法令関係の特別の審査会を持つ制度。遅くてまずい制度なのに利用しているのは、不服申立前置になっているからと、少しは原処分の理由開示が期待できるから。せめて、理由開示機能をもう少し充実させて欲しい。そのためには、口頭意見陳述の場をせめて聴聞手続並みにして欲しい。それと、審査会を設けたりして審査庁の人的体制を充実強化して欲しい。
委員から笑いをとったのは、平成13年に審査請求した河川占用許可取消審査請求の結論がまだ出ていないと言ったときと、その事件に関して、審査庁の国交省河川局の担当者が審査請求人宛に代理人選任の有無を「審査請求に係る審尋」なる仰々しい文書で照会をしたために請求人本人が何か悪いことをしたのかと10日間も悩んでいたという話をしたときだった。
今回の研究結果を踏まえて、行政不服審査制度も、本来の、簡易迅速に違法不当な行政処分の是正を図り、国民の権利利益を救済する制度に少しはなってほしいと願うものだ。
投稿者:ゆかわat 23 :42| ビジネス | コメント(0 )