2012 年01 月20 日
君が代最高裁判決
1月16日に言い渡された最高裁君が代判決は、職務命令違反を理由として懲戒処分を行うこと一般は肯定しつつも、減給以上の懲戒処分については事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要であるとして減給処分と停職処分の一部については取り消した。ところで、19日の日経新聞社説をみると、この判決を受けて「大阪府・大阪市では、職務命令に3回違反したら免職とする教育基本条例案が2月議会で審議される。こんどの判決に照らして、是非をよく考えるべきであろう。」という意見を述べている。
しかし、最高裁判決は、懲戒処分の軽重について任命権者の裁量権の逸脱濫用に当たらないかどうかの判断基準を示したものであるが、大阪府・大阪市が制定しようとする条例は裁量権行使の判断基準(処分基準)を条例として定めようとするものである。最高裁の事案では、「過去の懲戒処分の対象とされた非違行為と同様の非違行為を再び行った場合には量定を加重するという処分量定の方針」はあったが、それ以外の処分基準は定められていなかった事案であるし、そのような事案であっても、最高裁は都教委の定めた処分量定の方針自体は否定せず、それを踏まえた判断をしている。
したがって、最高裁の示した裁量判断基準と異なる処分基準を大阪府・大阪市が制定したからといってそれが直ちに違法あるいは訴訟で否定されるわけではないし、むしろ裁判所は大阪条例を前提としてその範囲を合理的に画することになるのであろう。
社説は、司法権と自治権の関係をあまりに静的に、あまりに司法権優位に理解しすぎているきらいがあるように思われる。
投稿者:ゆかわat 23 :51| ビジネス | コメント(0 )