<< 前のエントリ |メイン | 次のエントリ >>
2012 年04 月04 日

レバ刺し禁止令の愚かしさ

今朝の日経朝刊の社説から。

「厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会が、生レバーの販売を禁止する意見をまとめた。厚労省は近く食品衛生法に基づく規格基準をつくるという。違反すれば2年以下の懲役などが科される。(略)ただ一つの事業者が引き起こした不祥事を機に「官」による規制が際限なく広がる、典型的なパターンだろう。耐震偽装事件のあと、建築基準法が強化され、業界を萎縮させたのと同じだ。そもそも、生レバーに危険性があるのはたしかだが、1998年以降の食中毒事例は年間10件ほどだ。食中毒全体の1%に満たず。生ガキの食中毒などと比べて突出しているわけではない。およそ食べ物から完全にリスクを取り除くのは難しい。(略)そこに「お上」が乗り込んでメニューそのものをご法度にするとは、ほかの分野での過剰規制にもまして愚かしい対応と言わざるを得ない。」

 極めて正論だ。
 食品安全衛生を司る厚労省に対する世間の批判をかわすためだけの、責任回避のための規制の典型例だ。お役所仕事、縦割り行政の弊害の最たるものだろう。
 焼肉チェーン店の提起した食中毒事故に対する行政の対応は、食という市民生活の基本に対する行政の関わり方、消費者の自己責任と事業者の責任と行政責任、行政による規制と業界の自主規制、食中毒事故に対する民事責任と刑事責任と行政責任、業に対する規制と食品に対する規制、事前規制と事後規制等について、それらを総合的に勘案して、生レバーによる食中毒を防止するためにどのような枠組を作るかを考えなければならない。それなのに、お役所仕事、縦割り行政の観点からは、食中毒=当該食品の使用禁止という短絡的な発想となる。
 それを先に述べた総合的観点から行政の規制のあり方を決するのが国会の仕事のはずなのだが、どうやら今は、自民党政権の時代よりも官僚が幅を利かしている。というより、政治の世界が方向性を見失って、官僚の世界の中のバランス(それぞれの官庁がその背後にある業界・国民の利益を代弁して互いに牽制しあう、悪く言えば足を引っ張り合うというバランス)も崩れて、統制が利かなくなっているようだ。

投稿者:ゆかわat 23 :54| ビジネス | コメント(0 )

◆この記事へのコメント:

※必須