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2012 年12 月07 日

ミサイル破壊措置命令

今日の日経夕刊を見ると、「政府は7日、首相官邸で安全保障会議を開き、北朝鮮がはっ詐yを予告した事実上の長距離弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する事態に備え、ミサイル防衛システムで迎撃する方針を決定した。これを受け、森本防衛相が自衛隊法に基づく破壊措置命令を出した。」との記事が載っていた。

自衛隊法82条の3第1項は(弾道ミサイル等に対する破壊措置)との表題の下に、「防衛大臣は、弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。以下同じ。)が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。」と定め、
93条の3は(弾道ミサイル等に対する破壊措置のための武器の使用)として「(破壊)措置を命ぜられた自衛隊の部隊は、弾道ミサイル等の破壊のため必要な武器を使用することができる。」と定めている。

ところで、自衛隊法の条文は「弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは」とあるから、本来は、特定の弾道ミサイル等が今まさに落下しようとして被害を防止するために必要があると認めたときにおいて初めて措置命令を発しうるのであって、今の時点であらかじめいわば包括的に自衛隊の部隊に措置命令を出すのは、要件を欠くのではなかろうか。そう考えると、法律(そしてその解釈)というのは平時を規定しており、ミサイルが発射されるという緊急事態は想定していないし、機能しないものなのだろう。

投稿者:ゆかわat 22 :32| ビジネス | コメント(0 )

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