2006 年01 月01 日
旧年回顧
京都の大晦日は、市内各所から響き渡る除夜の鐘の音とともにふけていった。自宅に一番近くに聞こえた鐘の音は、方向からすると、六角堂だったのだろうか。そして、新風館で今年から始まったカウントダウンパーティー会場から聞こえる、新年のカウントダウンで新年を迎えた。振り返ってみると、1昨年は最高裁での逆転勝訴判決2件(カラ出張文書情報公開訴訟、カラ出張住民訴訟)で非常に気をよくした1年だったが、去年は高裁判決に泣かされた1年だった。
京大任期制教授再任拒否訴訟の大阪高裁判決。行訴法改正の流れ、最高裁の流れ、そして任期制の構造分析と京大での任期制(再任拒否)の実態解明に成功したことからすれば、再任拒否が行政訴訟(取消訴訟)の対象となることは明らかなのに、1審判決を上塗りしただけの無内容な判決。
2つ目は、産業廃棄物処理業取消処分取消訴訟。町のゴミ処理を正常とする生業とする業者が、県内の大きな企業から「今までのごみのついでに糸くずも処理してくれ」と頼まれ、産業廃棄物収集運搬業の許可をとった。産業廃棄物処理責任は排出事業者にあるのに、排出事業者は零細ゴミ処理業者に責任を押しつける。今まで契約書もなかったから、契約書を作ってきてくれという。でも、誰に廃棄物の処分を依頼し、誰に廃棄物の収集運搬を依頼するかは排出事業者が決めることであって、それをゴミ処理業者に丸投げすることがそもそも間違っている。ところが、ゴミ処理業者はとにかく言われるままに適当な契約書を作って持っていった。重要な事項は白紙のままで。そしたら、そこに書いてある処分業者とは違う業者に廃棄物の処分を委託したということで、再委託禁止違反等を理由に県から産廃処理業の許可を取り消された。産廃処理業の許可の取消は、単に産廃だけにとどまらず、この業者の生業であった一般廃棄物収集運搬委託の資格をも取り上げた(国の法令が両者をリンクさせている)。1審福井地裁は原処分を取り消したが、金沢高裁金沢支部は、適性証人の言い分は丸飲み、業者にはしつこく尋問してしどろもどろにさせ、判決言い渡し期日を再三延期して、逆転敗訴判決を言い渡した。
3つ目は、下水道事業国賠訴訟。それまで外海町の依頼を受けて30数年にわたりし尿処理を他地域よりも安い料金でし続けてきたのに、町は何の連絡もちゃんとした説明もしないまま、一方的に下水道事業を始めた。下水道事業を始めれば、し尿処理業者は毎年確実に仕事がなくなるのは確実で、だからこそ、国は中途半端だが、下水道事業合理化措置法を制定して、市町村は下水道事業により経営基盤に影響を受けるし尿処理業者等一般廃棄物処理業者の経営に配慮するように求めている。ところが、外海町は、業者が何時からどの地域でどのような内容の下水道処理施設ができるのか、それができた暁にはその維持管理業務を任せて欲しいと何年も何度も繰り返し聞きに行っていたのに町は一切なしのつぶてだった。それで、1審長崎地裁は、下水道事業を行う場合の下水道処理施設維持館業務の締結等代替措置をとることまでは認めなかったが、周知説明義務に違反したことを理由に町の責任を認めた。ところが、福岡高裁は、業者が今も黒字経営をしているからいいじゃないかという簡単な理由で逆転敗訴判決を言い渡した。どうして下水道事業開始後数年たった結果論、それも業者の自助努力によって維持した結果論で、下水道事業開始前の行政の「業者に対する配慮義務」の懈怠を擁護するのか。
高裁は、どうして行政判断に追随し、弱い一般国民・業者をいじめるのか。どうして行政に立ち向かう国民の痛みを知ろうとしないのか。自分の非力をも思い知らせされた1年だった。
投稿者:ゆかわat 07 :59| ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )