2013 年04 月20 日
水俣病認定基準見直さず
18日日経夕刊に、環境省事務次官が水俣病認定基準について4月16日水俣病最高裁判決でも否定されていないから見直す必要があるとは思っていないと述べたとの記事が載っていた。これに対し、被害者団体は「司法判断を尊重していない」「患者と認めてほしければ裁判をしろと言っているにひとしい。償いの態度が見られない」などと反発しているという。 これは一つは16日最高裁判決をどう見るかという問題がある。判決のコメントは別途することとして、確かに最高裁判決は認定基準が誤っているから不認定処分を取り消したのではなく、認定基準にとらわれずに裁判所が当該患者が公害健康被害補償法の定める水俣病にあたると判断して処分を取り消した(要するに、認定は行政庁の裁量判断ではなく、裁判所が全面的に判断しうるき束処分であるとした)ものだから、事務次官が述べるとおり、最高裁判決によって認定基準が誤っていると判断されたものではない。行政判断で救済を図るというシステムを円滑に運用するためには画一的な認定基準を安定的に維持する、そして行政の救済システムからもれた個別救済は裁判所に委ねるというシステム運用は一つのあり方だ。その限りでは、事務次官発言は間違ってはいない。 しかし、裁判所(司法判断)に対する行政のあり方の問題としておかしくはないか。認定基準やその運用が結果的に正しくなかったので認定されるべき患者が認定されずに放置されてきたのだから、司法判断を受けて認定基準の見直しも視野にいれながら運用を再検討するというのが行政のあり方ではないか。事務次官の対応は、最高裁を同列の行政機関の中の1省としか見ていないように感じる。 最後に、水俣病患者救済は単なる行政マターではなく政治問題なのに、大臣をさしおいて環境省事務次官が認定基準見直し否定のコメントをすることはいかがなものだろうか。4月20日追記 本文を書いてから夕べの夕刊見ていたら、19日夕刊に環境大臣が運用あり方検討との記事が載っていた。事務次官発言を大臣が修正したものだ。しかし、政治マターなのに、事務方が大臣を主導して、大臣はそれを追認しているだけとの感は否めない。
投稿者:ゆかわat 06 :49| ビジネス | コメント(0 )