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2015 年10 月18 日

公法学会

10月17日18日に同志社大学で開催された公法学会第80回総会に参加してきた。
今年のテーマは「現代公法学における権利論」。
憲法の哲学的抽象的議論にはまだまだなじめない。しかし、曽和教授がいみじくの報告の冒頭で述べられたように、「日頃、ロースクールで、実定法の細かい解釈論ばかりしている身」からすると、年に一度くらいはこういうスケールの大きい議論をしないと、どうしても近視眼的になるものだ。

報告の中で、私の関心と合致したのは、北海学園大学大西有二教授の「行政訴訟における権利」報告と、日本大学平祐介助教の「行政不服審査法活用のための不当性審査」報告。

特に前者の報告。取消訴訟で権利が問題となる局面は、処分性、原告適格、そして違法性。日本の訴訟実務では、処分性も原告適格も訴訟要件であって本案の問題ではないとされて、本案に入る前に処分性や原告適格が肯定されないと、本案審理に入らない。しかし、処分性(国民の権利義務を変動させるか)、原告適格(取消を求める法律上の利益があるか)とも、事案の中身に入って、どういう権利が問題となって、権利侵害のおそれがあるかを審理しないと処分性の有無も原告適格の有無も分からない。大西教授も、ドイツ法に依拠しつつ、原告適格も権利侵害=違法性の問題と連続しているから、本案の問題だと喝破された。

そして、違法性=権利侵害については、その本質は行政過程における利益分配の調整の過誤にあるとされる。だからこそ、裁判所は実体審査ではなく手続き審査しかできないということになるのだろうが、この「利益分配の調整の過誤」という視点は、何か使えそうだ。

投稿者:ゆかわat 20 :31| ビジネス | コメント(0 )

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