2017 年05 月26 日
憲法もポピュリズム
5月25日日経新聞大機小機の欄から。「施行70周年を迎えた5月3日の憲法記念日。安倍晋三首相が憲法改正を表明した。2020年施行を目標にするという。
安倍首相は、長く日本国憲法の争点となってきた9条について1,2項はそのままにした上で、3項を追加、そこに自衛隊を明記する考えを示した。論理は無きに等しい。改憲を支持する人たちも、これで満足するのだろうか。
迷走は9条だけではない。首相は、維新の会が主張している「高等教育の無償化」を憲法に書き入れる考えも示した。これは憲法に書くべきことなのか、疑問に思う人も多いだろう。
教育は大事といえば誰もが同意する。いうまでもなく、これが今回の首相発言の背景だ。しかし、憲法に書き入れるか否かは別にして、これは甚だまずい提案だ。日本の高等教育は、全額無償化する前に大リストラをする必要がある。1989年、大学は499あった。(略)現在その数は(略)合計777だ(2016年)。
少子化の下で若者の数が減り続けることがわかっているのに、これだけ大学を増やしてきたのだ。定員割れを起こしている私立大学は約半数の257校もある。こうした問題にメスを入れずに、大学をすべて無償化などありえない。
(略)
文教族といわれる政治家は「教育国債」でやればよいというが、これは看板を替えただけで赤字国債とまったく同じ。消費税引き上げを先送りする人たちが大学無償化とは実に無責任な話なのである。
(略)
5月3日に首相は「少子高齢化、人口減少に真正面から立ち向かう」と言った。しかし、提案された改憲案の一体どこに真正面から立ち向かう姿勢があるのか。ポピュリズムに訴え改憲を急ぐアクションだけではないか。
憲法は国家百年の計である。日本国憲法99条は、総理大臣による性急な行為を禁止しているのではないか。」
日経新聞がよくここまで思い切った安倍改憲批判を取り上げたものだ。よほど腹に据えかねているのだろう。そんなポピュリズムに訴えるのではなく、国民から嫌われても、日本の財政健全化を図るべきだ、ということだろう。
投稿者:ゆかわat 09 :56| ビジネス | コメント(0 )