2017 年12 月03 日
区画整理事業の違憲性
今日の日経新聞に「北京、人口抑制へ強権」「住居撤去、立退き迫る」という記事が載っている。「北京市当局が農村から流れ込む人口を抑制しようとなりふり構わぬ手立てを講じている。労働者の住居を違法建築を理由に有無を言わせず撤去するなど、当局が強制的に住民を追い出す例が目立つ。」という。たとえば、11月に北京近郊で工場労働者らが住むアパート火災の発生したところ、火災の1週間後にはブルドーザーが行き交って、アパート、店舗などすべてが壊され、歩道は瓦礫の山になっていたという。
生活環境の改善、あるいは違法建築の是正を理由に行政当局が既存建物を一方的に取り壊していく。あまりに強権的で違法だとの批判が出ている。
しかし、これは中国だけの、異国の話ではない。
日本の土地区画整理事業も、実は同じではないだろうか。
市町が、あるいは地権者の組合が、多数決で事業計画を作成し、仮換地を指定し、それに反対する地権者の土地を一方的に減歩して取り上げ、建物等を取り壊していく。中国で今行われていることとどれだけの本質的な違いがあるだろうか。日本の場合は、法律や組合総会の議決という「多数決」を錦の御旗にしているだけで、中国と同様、行政が一方的に決めているのではないか。私のところに相談に来る人はみなそう言う。土地区画整理事業も中国北京の例もその本質は同じではないのだろうか。
戦後、急速な都市化が進み、狭隘で密集した乱開発が進んでいくのを抑制するために、とにかく宅地の整備を図る必要があった時代(まるで、上記の北京の例と同じだ)には、必要で合理的な制度であったかもしれないが、もはやそのような時代ではない現在には、土地区画整理法をそのままに維持していくことは憲法違反であると思う。
そのような思いから土地区画整理法が違憲違法であるとする国家賠償請求訴訟が金沢地裁に提起された。今後の訴訟の推移を見守っていただきたい。
投稿者:ゆかわat 11 :35| ビジネス | コメント(0 )