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2018 年05 月30 日

民事裁判手続き IT化?

5月28日付日経朝刊の「法トーク」の欄に、日本大杉本純子准教授の「民事裁判手続きIT化を」と題する記事が載っていた。

1 米国やシンガポールなどではオンラインで裁判書類がやりとりされたり、記録を電子化して保管しており、裁判手続きのIT化は国際標準だ、2 大量の裁判所類を印刷して裁判所に持参・郵送する負担やコストがIT化で減れば審理の迅速化にもつながる
ということを理由に、日本も早く民事裁判手続きのIT化を進めるべきだと言う。
ここで氏のいうIT化の論拠は、それが国際標準だということと、負担コストの削減にある。

しかし、国際標準だからそれに従うべきだというのは、何の理由も示したことにならない。何時の時代の話をしているのだろう。何時まで、外国に追いつけ追い越せという議論をしているのだろう。国際標準だからそれに従えというのであれば、英語を公用語にしろという話にもなりかねない。国際標準を持ち出されたのでは、なぜIT化か、そのメリットデメリットはどこにあるのかを議論することすらできない。議論封印の理屈であり、その手法には承服できない。

次に、書類をコピーするのは大変だろう、その手間が省けたら楽だということと、審理の促進とは全く別問題である。コピーの手間のために訴訟が遅れたなど聞いたこともない。そもそも書類のコピーは何のためにするかといえば、裁判所や相手方がその資料をすぐに見ることができるためである。電子データで送れば、スマホやパソコンの画面でしか確認できない。しかし、その画面はどれくらいのサイズだろう。しかも、1画面で1頁、下手すると、半分程度しか見れない。書類で裁判記録を見るメリットは、その一覧性にある。電子データでは、えーっとどこにあったっけ?と、記録をざーっと斜め読みすることができない。記録の縦横斜めの子細な検証ができなくなる。それで恩恵を被野は、真実を隠したい人だけではないのだろうか。

そもそも民事裁判手続きのIT化の問題点を何も言わずに、表面的な誰もが賛同できるメリットだけを掲げるのは、いかがなものか。それが大学准教授の肩書で発言すべきことだろうか。大いに疑問を感じる。

私の意見は、また次に述べることにする。

投稿者:ゆかわat 21 :23| ビジネス | コメント(0 )

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