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2006 年02 月13 日

ジャンプノーマルヒルの教訓

ジャンプ・ノーマルヒル予選の原田が、長すぎるスキー板を使用したとして失格になった。国際スキー連盟(FIS)が昨季導入したルールによると、原田の身長は174センチだから、体重が61キロ以上なら、254センチの板までOKだった。しかし、「59キロ以上61キロ未満」であれば、251センチの板しか使えない。ところが、この日の計量ではブーツとスーツを含め60.8キロで、あと200グラム不足していた。そのため、253センチの板を使った原田は失格となった。
 たった200グラムで失格か、過度の規制だ、いや原田の体重管理がなっていないというのが報道の中心だった。しかし、何か引っかかる。

 身長173センチなら、体重60キロ以上なら、253センチの板が使えるというではないか。しかも、原田は、自分の身長は173センチだと思っていたから、60キロ以上体重があれば良いと思っていたと言う。それに、日本選手団名簿によると、原田は身長173センチとなっているという。

 問題は、原田の身長が何センチかだ。FISの計測が正しいのか。それなら、日本選手団名簿は間違った情報を載せていたことになる。それに、どうして原田自身が自分の身長を間違えて認識しているのか。そこを曖昧にしたまま、体重管理を怠ったミスを原田に問うのは問題のすり替えだ。

 今朝のニュースでは、原田はマイ体重計が間違っていたのではないかということも指摘していた。そもそも体重の計測は何時の時点でするのだろう?競技前にするのか、競技後にするのか?競技前にしていれば、その時点で何センチの板が使用できるかが判明するのだから、その時点で選手に伝えれば良い。そうでないということは、競技後に計測したのだろうか。しかし、それでは失格させるために計測しているようなものだから、不意打ちに近い。

 しかし、そもそも新ルールは、過度の減量をして飛距離を伸ばそうとする選手が増えたために導入されたと言うが、過度の減量をするかどうかは選手の自己管理の問題であって、それをルールによって規制するというのは本末転倒だ。

 さらに、この事件で考えるべきは、「ルール作り」だ。過度の規制だからおかしい、あるいは最近めまぐるしく変わるルールに翻弄されているという発想は、「ルールをどう守るか」という日本人的発想だ。今朝の朝ズバでもやっていたが、これから目を向けるべき問題は「ルールをどう守るか」ではなく、「ルールをどう作るか」だ。国際競技はルールが厳しい。おしなべてヨーロッパの競技はルールが厳しい。F1もレギュレーションが頻繁に改正される。しかし、ルールは一部の者が作るのではないはずだ。皆が協議して、ネゴシエーションの中で、少しでも有利になるようにルールを決める。これからは、日本人も、「ルールを守る」ではなく、「ルールを作る」という発想で行くべきだ。まずは小学校の授業から変えるべきだろう。

投稿者:ゆかわat 23 :38| 日記 | コメント(1 ) | トラックバック(0 )

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湯川様

はじめまして。

行政訴訟のHPを検索しておりましたら、こちらに
たどり着きました。

法の限界、法の依存、法の妥当性、法の可能性について
深く思慮されているところがとても共感させられる
ところがありました。

ゼニになることには詳しい方がおられますが、
本当に必要なことについて、専門家としてきちんと
見定めていこうとされる方は数少ないことでしょう。

また、個人的にお願いしたいこともございます。
その件につきましては、改めてご連絡差し上げ
たいかと存じます。

投稿者: shoji URL at 2006 /03 /05 10 :12

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