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2019 年07 月28 日

民事裁判のIT化

<民事裁判IT化>高齢者らに運用の配慮を 仙台弁護士会が意見書
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190727-00000018-khks-soci

 裁判所と弁護士事務所などをインターネットで結ぶウェブ会議の運用が来年2月、仙台地裁を含む全国8地裁と知財高裁(東京)で始まる。
仙台弁護士会は26日、IT(情報技術)に習熟していない当事者を念頭に置いた運用の配慮を政府や最高裁などに求める意見書を発表した。

 ウェブ会議の運用開始は、政府や最高裁が進める民事裁判のIT化の一環。
遠隔地の訴訟当事者や弁護士は裁判所に出頭しなくても、オンラインの会議で争点整理や訴訟進行の協議ができるようになる。
将来的な法改正を前提に、訴状や主張書面の電子提出やウェブ上での尋問の実施なども検討されている。

 意見書は、ITに疎かったり通信環境を用意できなかったりする高齢者や経済的困窮者らに手続きを強制すれば「裁判を受ける権利の制限につながりかねない」と指摘。
IT化の方向性自体は「審理の充実や効率化の観点から受け入れるべきだ」とした。

 しかし、
 公開法廷が重要なのはなぜか。それは、憲法にそう書いてあるから公開法廷が重要なのではなくて、公開法廷にすることによって、裁判官が訴訟指揮に緊張感を持てる、裁判官が事件がどれだけ社会的関心を集めているかを知れるから。

 口頭弁論が重要なのはなぜか。それは、民事訴訟法の原則と書いてあるからではなくて、原告被告裁判官が直接顔を合わせ、その場で同じ記録の個所を見、質問をして意味が分かるまで回答をその場で得てそれでお互いの問題意識を理解共有したり、その書面の意味はそういうことなのかを知ることができるから、だから重要なんです。

 訴訟書類を紙媒体で正副2通用意する手間が省けるというけど、相手方はそれを読もうとすると、PCの画面で見なければいけない。小さいノートPCしかなければ訴訟資料を一覧することが困難。やっぱり紙媒体でないとだめと思う人は自分で紙媒体で印刷しないといけない。それが公平公正なのだろうか。

 WEB会議で弁論をするから直接出廷しないでいいというけど、同じ書類を見ながら・直接・口頭で・面と向かってやり取りするのとではやはり違う。そもそも相手方がPC画面に映っている人以外の事件屋とか黒幕とかが横にいても分からない。何よりもWEB会議は機械・PCと向き合うのであって、人と向き合うのではない。

 IT化が審理の充実につながるのか自体からそもそも皆で話し合うべきだ。

 何よりも私が不審に思うのは、これまでIT化に最も遅れていたのが裁判所だったこと。未だにハッキングや情報漏洩を恐れて、裁判所の庁内のPCはネットにはつながっていませんし、メールのやり取りもできませんし、準備書面や書証のメール添付送信も認めませんし、データのやり取りが必要なときでもCDディスクでやり取りしています。まずは、今までそうしてきた理由を明らかにし、この取扱いをどうするのかを明確にすべきではないでしょうか。

 そのような裁判所が進める民事裁判のIT化の目論見は、むしろ訴訟の効率化、支部の廃止、IT化についてこれない訴訟当事者の切捨て、IT化になじまない本人訴訟や書証のない訴訟の切捨て、多数当事者と直接対面することの回避、そしてより少数エリート裁判官による裁判運営ではないか。少なくとも、その問題を裁判所自身がどう考えているのかを明確にすべきだと思う。

 

投稿者:ゆかわat 07 :48| ビジネス | コメント(0 )

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