2006 年10 月17 日
行政法の講義
先週後半から北陸づいている。金曜日は富山地裁で弁論、その帰りに高裁金沢支部に上告受理理由書提出、土曜日は顧問先と山中で会議、月曜日は高裁金沢支部に別事件の上告受理理由書提出、そして火曜日は金沢大学で行政法の講義。金沢城跡のキャンパスは法社会学会の報告で行ったことがあったが、角間のキャンパスに行くのは初めてだった。小高い丘の上にあって、広々としていてとても気持ちの良いところだった。金沢大学大学院では行政事件を通して感じたことを「行政事件にどのように取り組むか」という演題で学生向けに話してきた。
行政訴訟の特殊性 依頼者の利益救済と行政の適法性確保を目的として提起しているが、訴訟ではその目的を達することはできず、訴訟外での交渉・市民運動の手段として利用している。
行政法の特殊性 裁判官と意思疎通が図れないと感じることがある。それは、そもそも行政法規の解釈が法律の解釈というよりは法律だけでは完結せずに、法律・政令・省令・通達の発見という過程をたどること、当該法規を縦糸として地方自治法の分権・自治事務・法定受託事務の切り口を横糸とした解釈が重なってくること、そして三権分立ではなく立法・行政が国・県・市の多層構造をとっており、法規は法律・政省令に加えて県・市条例まで見てはじめて完成すること。
福井の魚あら処理施設の事件を例に、事件にかかわる法令を発見し、その権限者(攻撃のターゲット)を見定め、考えられる限りの法的手段をとること。具体的なケースを交えて講義をしたが、どの程度理解されたかな。そもそもは弁護士や裁判官向けに話すべきことのように思った。だって、自分が弁護士として行政事件にこれまでかかわってきてはじめて分かったことだから。
投稿者:ゆかわat 22 :38| ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )