2007 年01 月13 日
行政不服審査法改正要綱つくり
今日は、土曜日だったが、日弁連行政訴訟センターの行政不服審査法改正要綱案作成のために東京まで出張した。総務省の研究会で行政不服審査法改正の検討をしているところであるが、そこに提出する日弁連案の作成である。日弁連での大まかな議論の方向性としては、現行の異議申立て・審査請求の2本立てを原則として一本化する。
すなわち、処分を行った処分庁に対する不服申立てとし、その判断の客観性・公正性を担保するために第三者機関に諮問をし、処分庁はその第三者機関の答申を尊重して裁決をする。現行の情報公開の不服申立て方式だ。
不服申立ての対象は、処分に限らず、申請に対する不作為も、行政権限の不行使(たとえば、違法建築物に対する是正命令を発動しない)も、行政指導も広く含める(但し、行政計画や行政立法は、その対象となる計画や立法が様々であるので、別途法律で定める。)。
不服申立てを行える者は、行政訴訟の原告適格よりも広くする。
不服申立てには、処分庁に対する再考の申立ても用意し、その申立てがあったときは、20日以内に不服申立てに応じて処分をし直すか、そうしない場合はその理由を明らかにする。
不服審査手続に利害関係人の参加を認める。
不服申立てを受けたときは、明らかに不適法な申立てを除き、速やかに第三者機関に諮問する。第三者機関は諮問を受けたときから2ヶ月以内に答申をしなければならない。第三者機関は法曹有資格者又は行政不服審判官を長とする合議制機関とし、処分庁に対し資料の提出を求めることができ、処分庁はこれを拒否することができない。
申立人又は参加人は、第三者機関に対し、審理を求めることができる。この審理は公開によることを求めることも出来る。
審理の申立てがあったときは、第三者機関は処分担当者の審理への出頭を命じる。審理の席で、申立人又は参加人は処分担当者に質問を発することが出来る。
申立人又は参加人は第三者機関が収集した資料を閲覧・謄写することができる。第三者機関は必要な証拠調べを行うことが出来る。
処分庁は、第三者機関の答申を受けてから2週間以内に、その答申を尊重して採決を行わなければならない。行政権限不行使に対する不服申立てを認容するときは、行政権限行使手続に入ることを宣言する。不服申立てがあったときはその処分は執行停止を原則とする。
ざっとこんな感じだが、不服申立ての範囲を広げて、全件第三者機関への諮問を義務付けて、果たして本当にうまく回るのか。地方の市町村でこれに対応できるのか。担い手がいるのか。制度をいじっても、所詮、処分をした当事者がこれを見直すはずはないのではないか。疑問は多々ある。
むしろ、もっとシンプルにした方が良いのではないか。要は、行政活動に不服があるときに、同じ穴のむじながこれを見直す振りをするのではなく、第三者が見直し、かつ、事案に応じて柔軟に対応する。たとえば、都市計画に対する不服申立てであれば、広く関係者や学識経験者を集めて、都市計画の見直しを行う。そういうことができる制度がほしい。これが上記の改正要綱でできるのか。むしろ、行政オンブズマンを置くことにして、第三者的な苦情処理制度を設けた方がよいのではないか。要するに、行政不服手続を行政救済から切り離して、苦情処理手続に純化する。
もし行政オンブズマンを置くのが担い手不足で現実的に無理であれば、会社法のコンプライアンス体制の構築義務のように、苦情申立てがあったときはその苦情の性質・内容に応じて適切な苦情処理体制を設けなければならないことだけを法律で定める。
そして、行政救済は行政訴訟に純化する。苦情処理と行政訴訟の谷間の行政紛争の解決は、民事調停手続でこれを行う。こんなシステムの方がすっきりとしないだろうか。
投稿者:ゆかわat 21 :58| ビジネス | コメント(0 )