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2007 年03 月14 日

廃棄物違法委託事件

 先日、廃掃法違反被告事件の高裁判決を受けた。事案は,軽油密造に伴う硫酸ピッチの違法処分の委託及び受託行為だ。その数合計してドラム缶300本以上だ。しかも,執行猶予中の再犯だから、懲役3年は覚悟していたが、大津地裁で、求刑が懲役4年,罰金400万円のところ、懲役3年6月,罰金400万円の判決を受けた。3年半は重い。確かにやったことは悪いが、それで利益を得たわけでもないし、頼まれ仕事だし、私が弁護人について,廃棄物の適正処理にも着手させた。それなのに、それを全くしないのと同様の判決だから,弁護人のやる気も何もかもなくさせるほど重い量刑だ。一般に、オウム事件以来、裁判所では重罰化が進んでいる。その中でも、大津地裁は、私がちょっと見た限りでも、量刑が検察の求刑にひきづられて重いものが多い。

 しかし、そのような地裁判決であっても、それに対して控訴するのは、はっきり言って博打ものだ。量刑不当で控訴はできるとは言っても、高裁も地裁も同じ「裁判官」という同僚が担当しているわけだし、高裁では地裁と違って記録を見るだけで被告人や証人から詳しく事情を聞くわけでもないから、高裁の裁判官とて少々刑が重いかなと思う程度では原判決を破棄して刑を軽くすることはない。仮に控訴棄却となったときは、控訴期間余計に拘束されることになる。これなら破棄できる、という材料をどれだけ提示することができるか。

 先日は、交通事故で被害者を死亡させた事件で、1審判決後にさらに被告人に被害者遺族に謝罪に行かせ,30万円でも自腹を切って見舞金を支払わせるようにし,被害者遺族がその受領を拒否するとその金額を法律扶助協会に贖罪寄付させたが,結局,実刑のまま,その刑期も負からなかった。

 今回も,1審判決後に,さらに廃棄物処理のための費用を負担させたが,100万円程度しか高裁弁論終結前には用意できなかった。廃棄物処理費用は総額で1000万円以上を要した(既に行政代執行済み)から,とりあえずその1割しか支払えていない。
 やっぱりだめか,と思ったが,高裁では、刑期を半年軽くしてもらえた。半年であっても,被告人もその家族も喜んでくれたようだ。これで早く出所して,廃棄物処理費用を全額行政に返済してくれるなら,これに勝る幸せはない。

 次に思うのは,廃掃法事件の罰金併科ももう少し何とかならないのか、ということだ。県廃対課からは、早くごみを処理してくれ、代執行費用を納めてくれと言われるが、罰金を納めたらごみの費用は出てこない。そもそも,廃掃法違反事件を起こすような被告人はそんなにお金を持っているわけではない。お金がないからこそ,廃棄物の違法処理で金を稼いでいる。そんな被告人から罰金で多額のお金をとると,廃棄物処理ができなくなる。むしろ,廃棄物処理のために金員を支出した者は,その分罰金を免れるような制度ができないものか。そうすれば,被告人も進んで廃棄物処理をするだろう。道路交通法の駐車禁止車両に対する放置違反金の制度も,本来は,反則金や罰金を納付すべきところを放置違反金に置き換えたものだ。同じようなことを,廃掃法の世界でも是非とも考えてほしいものだ。

投稿者:ゆかわat 00 :44| ビジネス | コメント(0 )

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