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2008 年10 月02 日

京都産業大学ロースクール平成20年度秋

 昨年に引き続き、京都産大法科大学院の公法実務演習の授業を今日から始めた。但し、私のやっていた内容は行政訴訟実務だったが、基本科目で教えるべき内容であって展開科目には該当しないとのことで、単位なしのコマになってしまった。
 それはともかくとして、初日は、9月10日に言い渡されたばかりの土地区画整理事業計画の処分性を認めた最高裁大法廷判決を取り上げて演習を行うことにした。
 改めて浜松市の施行している上島駅周辺土地区画整理事業を見てみると、確かに公共事業整備のための区画整理であって、住民の立場からすれば、宅地の利用の増進にはほど遠い内容だ。仮換地指定を受けてから争ったとしても、仮換地の違法性はもっぱら事業計画自体が違法だと言うことに尽きそうだ。それなら事業計画の取消訴訟を認めてしかるべきだ。しかし、これは、最高裁昭和41年判決(俗に青写真判決)で否定されている。それをひっくり返したのが、9月10日の大法廷判決だ。

 青写真判決の枠組み(@権利変動内容が具体的でない青写真、A付随的効果、B紛争の成熟性)を、権利の実効的救済の見地から、20年判決はどう緩和したのか。多数意見が権利の実効的救済と言いながら、権利侵害の見地ではなく、あくまでも法的地位への影響を重視したのはなぜなのか。取消訴訟の性格・機能をどう見るかの違いがそこにあるのではないか。事業計画の処分性が肯定されると、出訴期間の制限が発生したり、後に仮換地指定処分を争うときに事業計画の違法性は主張できなくなるのか。
 土地区画整理法の区画整理事業の流れを追いながら、これらを検証した。
 初回は、20名以上の出席があったが、今後増えるのかな、それとも減るのかな。これから毎週14回の演習の中で、行政訴訟実務を理解し、司法試験合格の実力がついていくことを祈りたい。

投稿者:ゆかわat 23 :31| 日記 | コメント(0 )

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