<< 前のエントリ |メイン | 次のエントリ >>
2009 年12 月12 日

開浄水場休止差止請求事件京都地裁判決批判(その1)

 判決の誤りの一つは、水道法の解釈の誤りである。
 判決は、水道法は、水道事業者は給水契約を締結した水道利用者に対して、法5条の要件を備えた施設から、法4条の水質の水を供給する一般的義務を負うのみで、法、施行令及び施行規則の条文をみても給水施設や水質を特定すべきことを定めた条項はないから、特段の事情がない限り、水道事業者は特定の施設や特定の水質の水の供給義務を負わないとした。

 しかしながら、これは水道法の解釈を誤っている。水道法は、水道事業の枠組を決めたものであって、給水契約の内容を定めたものではない。すなわち、水道法は、水道事業の内容を一律に法によって決めることをせずに、個別需用者と水道事業者との契約(それも、下水道とは異なり、私法上の契約である)によることとした。水道法が水道の供給を契約によることとしたのは、水道事業が、行政サービスの中にあっても、住民票の交付事務のように定型的画一的なものではなく、物の売り買いの性質を有する、それも地下水の豊富な地域もあれば、自己水源が全くないところもあれば、琵琶湖のような大きな湖沼やダム水がある地域もあって、地域それぞれで水事情が異なるため、法に定めることによってサービスの内容を画一的に決定するのではなく、水道事業者と需用者との取り決めによってその地域の実情に応じて柔軟にサービス内容を決定することを企図したからである。
 但し、水道事業は人の生命と健康に関わるものであって、ライフラインを構成するものであるために、水道事業者として従うべき最低の遵守事項を定めた。それが法4条、5条等に規定する事項である。したがって、水道法は、法に定める以外の内容を給水サービスの中に取り込むことを禁止しているのではない。

 したがって、判決がいうように「法、施行令及び施行規則の条文をみても給水施設や水質を特定すべきことを定めた条項はないから、特段の事情がない限り、水道事業者は特定の施設や特定の水質の水の供給義務を負わない」のではなく、「法、施行令及び施行規則に明らかに反する場合でない限り、水道事業者と需用者が特定の施設や特定の水質の水の供給を給水契約の内容とすることは何ら禁止されることはない」のである。「条項がない」から「できない」のではなく、「条項に反しない」限り「自由にできる」のである。
 判決は水道法の解釈を全く逆さまに行った。
判決全文は以下のPDFをクリックしてください。
1764b2433baad3e5.pdf

投稿者:ゆかわat 00 :12| ビジネス | コメント(0 )

◆この記事へのコメント:

※必須