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2009 年12 月14 日

開浄水場休止差止請求事件京都地裁判決批判(その3)

 判決が水道法を理解していないことを2度にわたって述べた。それ故か、私たちの主張も理解していない。

 判決は、当事者の主張を整理し、それが認められるかどうかを証拠と弁論に基づいて判断する。したがって、当事者の主張が正確に理解できていなければまともな判断ができるはずがない。ところが、水道法の理解ができていないと、私たちの主張も理解できないことになる。

 私たちは、原告と被告宇治市との間の給水契約の内容として宇治市には開浄水場の水を供給する義務があると主張した。それを基礎づける事実として、原告は戦前から開簡易水道から水の供給を受けてきたこと、原告らは開簡易水道の存続を求めて宇治市と交渉を続けていたこと、宇治市長が原告らに末代にわたって市の責任で開の水を供給すると確約したために原告らは開簡易水道を廃止して宇治市水道に切り替えることに合意したこと、それを53年覚書にまとめたこと、等を主張した。

 ところが、判決は、原告の主張として「53年覚書により原告らと被告宇治市との間で原告が開簡易水道の水源から地下水の供給を受けることを権利内容とする合意がなされた」と整理した。

 私たちの主張と判決の整理する原告の主張とは、似ているようで、全く異なる。私たちの主張は給水契約の内容を問題にしている。判決のように53年覚書によって特別の義務が宇治市に発生したなどと主張しているのではない。

 結局、判決は、水道事業の内容を決するのが「給水契約」であることを理解しておらず、給水契約の内容は水道法によって一般的な水の供給にとどまると誤解しているために原告の主張は、給水契約の外側にある例外的な特段の事情の主張であると整理したのである。
 これは、原告が土俵は丸いと主張しているのに、原告の主張は土俵は四角いというものだとこじつけて、土俵は丸いから原告の主張は認められないと言うようなものだ。

投稿者:ゆかわat 23 :08| ビジネス | コメント(0 )

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