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2012年08月10日

東電OL殺人事件

 市立図書館で予約していた本が、予約の順番が回ってきたようで、届いたというので借りることができて、今日まで読んできた。
 この本を是非読んでみたいと思ったのは、ネパール人の容疑者が釈放されたときのニュース報道である。DNA鑑定などに問題があって、かなりいい加減な起訴がなされたことが明らかになった結果の再審決定と釈放だったのだが、当時の捜査官という人がニュースで取材を受けて、彼以外に犯人はあり得ないと力強く語っていたのだ。その根拠が、何かの検査をかたくなに拒絶したからというのだ。それを聞いて、背筋が寒くなった。この人たちの思い込みで、シナリオが作られて、容疑者が罪に陥れらたのだということが確信されたからだ。だから、改めてこの事件を取り上げた本を読んでみたくなった。
 読むのは結構しんどかった。正直、斜め読みをしたところもある。殺されたOLの心の闇の深さを考えさせられた。そして、ネパール人容疑者の危うさも考えさせられた。読み始めたときは、濡れ衣をかけられた容疑者に同情する気持ちが大きかったが、読んでいくに従って疑いをかけられても仕方のない、彼の過ちが見えてきた。また、裁判のいい加減さも見えてくる。どうでもいいと考えているかのような態度で居眠りしている裁判官の描写は、背筋の寒くなる思いがする。
 ところで、この本は、被告に無罪判決が下されるところで終わっている。いい加減な態度の裁判官は、無罪判決にしたのだ。とすれば、控訴審で有罪にされたことになる。それは何だったのだろう。これだけいい加減な証拠で起訴しておきながら、逆転有罪にした決め手は何だったのだろう。そして、これから始まる再審である。この事件は今後どのような展開を見せるのだろう。もう真犯人を見つけ出すことはできないだろう。この事件は、ネパール人容疑者の無罪に終わり、事件そのものは、風化するに任されるのだろうか。

投稿者:at Sushiat 21:23| 日記 | コメント(0)

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